工場ではこれまで、人による作業を自動化するため産業用ロボットの導入を検討しても、作業内容や生産ラインのスペースなどの制約から、導入を断念することが多くありました。それらの課題を解決するロボットとして導入が進んでいるのが、「協働ロボット」です。
この記事では、協働ロボットと従来の産業用ロボットとの違いや、協働ロボットが得意とする作業・苦手とする作業について解説します。
協働ロボットと、従来の産業用ロボットとの違い
協働ロボットは、従来の産業用ロボットのように人の作業を代替するだけでなく、人と一緒に作業ができる小型のロボットです。
これまで、80W以上のモーターが使用されている産業用ロボットには「安全柵」が必要でしたが、80W以上でもISO規格に準じた措置が取られている場合には、その安全柵が不要になりました。
協働ロボットを利用することで、従来の産業用ロボットではむずかしかった、人との作業分担や多品種少量生産への対応が可能です。
近年の人手不足や生産性向上の必要性から業務プロセスにおける自動化の重要性が高まっています。その中で安全柵が不要で人との協働作業が可能な新しいタイプのロボットとして「協働ロボット」に注目が集まっています。
協働ロボットの多くは力覚センサと組み合わせて導入されており、力制御に対応している点が、大きな特徴といえます。そのため、今まではスペースの制約からロボットの導入がむずかしかった工場でも、協働ロボットであれば導入が可能になり、さまざまな業界から注目を集めています。
また、協働ロボットにあわせて、さまざまなシステムや周辺機器の開発も進められており、導入の敷居も一段と低くなっています。
協働ロボットと産業用ロボットの比較
協働ロボット | 産業用ロボット | |
---|---|---|
作業内容 | 人と一緒に作業可能 多品種少量生産など柔軟な生産に対応 |
ロボット単体で完結する 単純作業の繰り返し |
生産規模 | 多品種少量生産・少品種大量生産など | 少品種大量生産が中心 |
制御方式 | 位置制御+力制御 | 位置制御 |
設置制約 | 小型で安全柵不要のため制約小 | 安全柵必要で制約大 |
移動式の協働ロボットユニット「ロボギー」をはじめ、協働ロボットを活用した自動化ラインの構築で実績も多数あります。協働ロボットの導入でお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。
協働ロボットが得意とする作業
協働ロボットは、従来の産業用ロボットでは実現がむずかしかったさまざまな作業に対応しています。
人とロボットとの作業の分担
これまで、人が行っていた作業を産業用ロボットで自動化する場合、製造ラインの大きな変更が必要でした。一方、協働ロボットは人と並んで作業ができるため、製造ラインの変更を最小限に抑えることができます。
例えば、ベルトコンベア上を流れる製品に部品の組付けを行う場合、工程の一部を協働ロボットが担い、残りの作業を人が行うといった共同作業が可能になります。
やわらかい製品・形の異なる製品への対応
これまでの産業用ロボットは、やわらかく変形しやすい製品や、形がひとつずつ異なる野菜などの食品をうまく扱うことができませんでした。
協働ロボットは、人間の触覚とおなじ役割を担う「力覚センサ」と組み合わせることで、ロボットハンドがどの程度の強さで物体をつかんでいるかを検知でき、やわらかい製品や形の異なる食品を扱うことが可能になります。これまではむずかしかった、食品産業への導入が加速しています。
精密な組立や仕上げ工程
協調ロボットは、力覚センサを活用することで、精密な組み立てや仕上げ工程にも対応可能です。
はめ合い作業時には、単純に位置を制御するだけではなく、はめ合い時に変化する反力をフィードバックすることで、高い精度を実現することができます。また、仕上げ工程では接触時の反力が一定になるように調整することで、微細な加工が可能です。
ティーチングがむずかしい複雑な動き
従来のロボットアームは、ティーチングペンダントを用いて、ロボットに動作を指示しています。しかし、複雑な動きはむずかしく、また動かし方を変える際には時間をかけて新しいプログラムを構築する必要がありました。
協働ロボットは、ダイレクトティーチングという手法に対応しているため、ロボットの動作を効率よく指示することができます。作業者が実際に協働ロボットのアームを動かすことで、協働ロボットはその動きを記憶し、再現することが可能です。
従来ティーチングがむずかしかった複雑な動きや、頻繁な動作の切り替えは、協働ロボットが得意とする作業のひとつです。
協働ロボットが苦手とする作業
一方で、協働ロボットが苦手とする作業もあります。
協働ロボットは、人と一緒に作業をするため、動作中に人に接触してもすぐに停止できるよう、動作速度が設定されています。そのため、人が作業についてこられないような高速動作には向いていません。
また、同様の理由でモーターの出力が制限されているため、協働ロボットの可搬重量は大型のロボットアームに比べると小さいです。重量物を扱う必要がある場合には、安全性の観点からも、安全柵が必要な従来の産業用ロボットを活用しましょう。
協働ロボットを導入する際には、その特徴を十分に把握した上で、生産ライン全体のなかでどの工程を担当させるのかを決めることが重要です。
協働ロボットの導入は、ロボットSIer「アルフィス」にご相談ください
協働ロボットは、安全を確保するための機能を搭載し、規定を守ることで人と一緒に作業ができるロボットです。従来はむずかしかった、生産ラインの変更や混流生産にも対応できるため、導入できる分野が大幅に広がりました。今後は、協働ロボットと産業用ロボットとの、用途に応じた使い分けが進んでいくでしょう。
ALFIS〈アルフィス〉では、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
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