技術コラム

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食品工場の外観検査で利用される外観検査機とは?導入方法やメリットについて紹介

食品工場の外観検査で利用される外観検査機とは?導入方法やメリットについて紹介

商品や製品を外観から検査し、品質の保証や安全を保証する外観検査は、食品工場には欠かせない業務です。
色や形状、異物の混入などを正確にチェックすることが求められる外観検査は、外観検査機を導入することで自動化させられます。
そこで、今回の記事では、外観検査をAIの導入で自動化する際の導入方法やメリットについてを紹介します。

外観検査で検出すること

食品は口から体内に入るため、外観検査をし、欠陥を検出する必要があります。
食品工場の外観検査には主に、「内容物に関わる項目」「表面形状に関わる項目」「包装に関わる項目」の3つがあります。

内容物に関わる項目

内容物に関わる項目とは、商品や製品の外観上の問題点を検査する項目です。
詳しくは、以下のような検査がされます。

形状 欠損や変形など、指定された形状と異なる
変色や色ムラ、ツヤなど色調が異なる
大きさ 指定の寸法が、誤差範囲を超えている
個数 指定された数量に差異がある
異物混入 髪の毛やビニール片、ゴミなどの異物が混ざっている
印刷 指定された意匠や印刷に差異がある

 
なお、形や色調、大きさが定まらない商品・製品に関しては、高い寸法精度は求められていません。

表面形状に関わる項目

表面形状に関わる項目とは、商品や製品の表面状態の問題点を検査する項目です。
詳しくは、以下のような検査がされます。

汚れ 埃や塵、汚れなどの付着物がある
キズ 商品や製品の表面に引っかき傷や擦れによる傷がある
感触 商品や製品の手触りや感覚が異なる
凹凸 表面の凹凸が指定された形状と異なる
シワ・へこみ 意図しない凹凸やシワなど、見栄えにムラがある
付属品 商品や製品に付属する物の有無

 
表面状態の問題は品質に大きく関わります。
一方シワや傷、ムラなどの原因は多岐にわたる他、誤差範囲は商品や製品によって異なるため、判断は難しいといえます。

包装に関わる項目

包装に関わる項目とは、ラベルの破れや印字のズレなど、商品や製品の仕上がりの粗雑さや丁寧さを測る指標になる項目です。
詳しくは、以下のような検査がされます。

包装 印字ズレや間違い、パッケージの傷などがある
梱包 入り数の間違いや破れ、穴などがある

 
パッケージに表示される賞味期限や消費期限、アレルギー表示などに間違いがあると、深刻な健康被害を起こす可能性があります。
ブランドイメージの低下につながることはもちろん、自主回収や商品の廃棄、治療費などがかかります。

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外観検査機とは

外観検査装置とは、自動で商品や製品の内容物・表面形状・包装に関わる外観を検査できる装置のことです。
数値化されたデータを元に、カメラや赤外線などの技術で大きさや形、数などの情報をコンピューターが処理し、目視検査に近い検査ができます。
また、近年では外観検査装置にAI(人工知能)を搭載した装置が普及しつつあります。
AIは過去の検査データを蓄積して学習を続けられるため、より高精度な検査が可能です。

ロボットを使った外観検査

外観検査ロボットとは、商品や製品の外観検査をするロボットのことをいい、整列や搬送など他の作業と一緒にする外観検査ロボットもあります。
従来の外観検査では異物混入やへこみ、キズなど判別の難しい外観検査はロボットではなく、熟練工の感覚や技術に頼っていました。
しかし、技術革新に応じて外観検査ロボットの検査精度が向上したことで、積極的に導入されるようになってきています。
ロボットが人に代わる作業をすることで、省人化および労働生産性の改善に期待できます。

外観検査ロボットの構造

外観検査ロボットは、異物混入や傷、へこみがないかを確認する「画像検査装置」部分と、商品や製品を動かさずに自らが動いて画像検査しやすくする「ロボット」部分を組み合わせた機械です。
ここでは、それぞれの部分について詳しく紹介します。

画像検査装置

画像検査装置は食品工場の生産ラインにおいて、異物の混入や色のムラ、キズの有無などの外観検査を画像撮影して認識し、商品や製品の可否を判別する装置です。
撮影するカメラ・レンズ・照明・画像処理ソフトなどで構成され、商品や製品をどのように画像撮影したいかによって必要になる部品には違いがあり、正確に検査するために調整します。
近年ではAI技術の導入が進み、過去の商品や製品のデータからパターンを学習させ、検査精度の向上が期待されています。

ロボット

ロボット部分は、スムーズで高精度な撮影作業を担い、一般的に多関節ロボットが使われます。
多関節ロボットは、人間の腕の様に複雑なカメラワークが可能で、多方向からの撮影ができます。
定点での画像だけでは画像検査が難しい曲面やガラス面であっても、ロボット部分があることでさまざまな角度からアプローチでき、複雑な形状をした商品や製品の撮影も省スペースで実現可能です。

導入するメリット・デメリット

AI外観検査機を導入するメリットは、「検査品質の安定」「人為的なトラブルの回避」「ランニングコストの削減」があり、一方では「イニシャルコストがかかる」というデメリットがあります。
ここでは、3つのメリットと1つのデメリットについて詳しく紹介します。

メリット1.安定した検査品質

口に入る食品は、異物の混入や印字の誤りなどが発生すると大きな問題につながります。
従来の外観検査では人の目によるため、見本を作成したとしても検査品質は作業員の視力や熟年度、体調などで左右されることがありました。
一方、外観検査装置は設定されたデータを基に毎回同じフローが実行されるため、基準にバラつきが生じず品質が安定します。
AIが搭載されている外観検査装置では、さまざまな異常パターンを学習し細かな不合格品の判別が可能です。
また、外観検査装置は休みなく稼働させられ、検査時間の短縮にもつながります。

メリット2.人為的なトラブル回避

目視での外観検査では、作業員の熟練度や体調、集中力によってバラツキが生じます。
他にも、「この程度なら大丈夫だろう」という品質の認識違いや見落とし、オーバーキルなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。
AI外観検査機を導入すると、ヒューマンエラーの発生を防止できるだけではなく、熟練した作業員の基準をデータ化することで、技術継承問題の改善が可能です。
また、作業員に代わって外観検査するため、少子高齢化に伴う人手不足の解消にもつながります。

メリット3.ランニングコストの削減

外観検査装置を導入すると、装置のメンテナンス費用はかかりますが、継続的に発生するランニングコストの削減が可能です。
削減できるランニングコストには、検査コスト・人的コスト・育成コストなどがあげられます。
検査コストは、検査する場所の環境や検査材料費のことです。
人的コスト・育成コストは、人件費や採用にかかる費用、人材育成にかかる費用や時間のことをいい、ヒューマンエラーで生じる再検査やリコールにかかる費用も含まれます。

デメリット.イニシャルコストがかかる

外観検査装置を導入する大きなデメリットは、初期の導入費用がかかることです。
導入の際には、導入ハード機器の費用だけではなく、ライセンスやサポートなどの費用も含まれます。
また、大掛かりな装置を導入する際にはスペースを確保する必要があり、装置の設定に時間がかかることもあります。
全ての導入費用がいくらになるかは検査する項目や規模に左右されるため、問い合わせて見積もりを取りましょう。

まとめ

食品工場における外観検査は、異物の混入や印字のミスがあると大きな被害につながる可能性があるため、とても重要な作業です。
外観検査機は、設定したデータを基に安定した検査が可能です。
人材不足の問題やヒューマンミスによる問題に役立つ一方、イニシャルコストや装置を導入するスペースの確保、職設定にかかる時間がかかります。
ALFISロボットシステムでは、省スペース設計でスペースを確保しやすく、「基本ユニット」がパッケージ化されており、導入しやすいという特徴があります。

アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
産業用ロボットの導入でお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。

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