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ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)とは?

ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)とは?

近年、さまざまな業界でロボットシステムが活用されるようになっています。その導入には設計、試作、製造、テスト、運用といった多くの工程が必要となります。そこで、「ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)」が登場しました。この記事では、RIPSとは何か、どのような目的があるのか、そしてどのようなメリットがあるのかについて、分かりやすく解説します。

ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)の概要について

ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)の概要について
ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)は、ロボットシステムを導入する際の最適な手順やフェーズごとに求められる成果物に関する標準化されたガイドライン(工程管理手法)のことです。ロボットシステムインテグレーター(ロボットSIer)と発注者間で両者納得のいく仕事を進めるため、2017年に経済産業省と日本ロボット工業会によって検討・提案されました。

ロボットシステムを導入するために必要なプロセスを7つに分け、各プロセスにおいて必要な作業工程と作成するドキュメントを標準化することで、作業の見える化や顧客との合意形成を行い、ロボットシステムのスムーズな構築を目指しています。システムを構築する際の具体的な手順を明確化し、導入プロセスを体系化することで、その進行状況が一目で把握できるようになります。不確実性を減らし、品質の向上や納期の短縮などを実現することを目的としています。
RIPSに基づくシステム導入により、ロボットシステムの導入にかかる時間やコストを削減することができるため、製造業をはじめとする多くの業界で採用されています。

ロボットシステムの導入において、これまで構築プロセスを管理する標準的な手法が存在していなかったため、 顧客との合意形成が曖昧なまま契約を結んでしまい、工程後半で認識の食い違いに気付き、結果として変更・追加改修などの手戻りが生じ、工数増による追加の費用発生や納期遅れが発生するという問題が度々生じてきました。
RIPSの活用により、作業工程や作成するドキュメントを標準化することで、作業の見える化や顧客との確実な合意形成を実現させ、 ロボットシステム構築プロセスの最適化を支援します。
引用元:引用元:ロボット活用ナビ 一般社団法人日本ロボット工業会

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なぜRIPSが必要なのか、従来の背景と問題点

従来、工場の自動化におけるロボットシステム導入にあたっては、標準的な構築プロセスを管理する手法が存在しませんでした。
自動化システムの導入経験が少ないユーザーでは、省人化、生産効率化、重労働からの解放、などの大目的のみで、具体的な仕様定義(要求仕様)まで提示できないことが多く発生していました。そのため、顧客であるユーザーとロボットSIer間の合意形成、作業工程(プロセス)ごとの状況確認が曖昧となり、システム構築終盤での認識の食い違いから、変更・追加・改修などの手戻りが発生するという問題がありました。
一方で、ロボットシステムを開発する側もさまざまな課題点がありました。例えば、各メーカーが独自の開発プロセスを持っていることで、システム間の互換性が低くなっていることや、開発の煩雑さ、コストの高騰などが挙げられます。
これらの課題を解決するため、専門家やユーザーなどからの意見を取り入れた結果、作業工程及び作成するドキュメントを標準化するRIPSが導入されました。

RIPSの適用範囲と想定ユーザー

RIPSは工場で使用されるロボット及び自動化設備を含むロボットシステム全般に適用されます。具体的には、メカニカルな部分であるロボット自体や周辺の自動化設備、電気や制御を担当する部分などが含まれます。ユーザー側は、ロボットシステムを実際に使用して運用を行うため、運用の実現性や操作性、性能などを評価する必要があります。

想定ユーザーは、新たにロボットシステムを導入する中小製造業や三品産業などです。それらのユーザーは一般的に、実績が少ないことで導入後のシステム運用をイメージ化することが難しく、実際に運用してから問題が発生することが多い傾向にあります。
そこで、ロボットSIerはビジュアルツールを活用して、ロボットシステムによる運用を明確にイメージできるようにし、プロジェクトの進め方や確認すべきポイントについてプロジェクト推進中も情報を共有することで、認識違いなどによる手戻りを軽減することが特に重要となります。

RIPSの導入プロセス

RIPSの導入プロセス
RIPSの導入プロセスは、以下の7つのステップから成り立っています。
それぞれの段階ごとに、どのような作業があり、ロボットシステムを導入されるのかを確認していきましょう。

① 検討・引合

検討・引合のフェーズでは、顧客と企業がロボットシステム導入における目的を明確化するとともに、具体的な課題と運用イメージについてすり合わせを行います。これにより、ロボットSIerはよりユーザーの現場ニーズに合致したロボットシステムの提案が可能となります。
顧客は、提案依頼書(RFP)を作成し、発注先候補のロボットSIerに依頼します。中小企業や初めてロボットシステムを導入するユーザーは、ロボットSIerに相談して一緒にRFPを作成することもできます。細かな要件やニーズ(何をしたいのか)を元に、ロボットSIerが最適なロボットシステムを提案していきます。
提案書には、導入するロボットシステムの構想の全体イメージと概算見積もりが含まれます。提案書の内容に合意した場合、さらに企画構想のステップに進み、より深く内容を検討していくこととなります。

② 企画構想

次に、ロボットシステムを導入するための具体的な企画を構想します。この段階で、具体的なロボットシステムの用途や目的、要件、およびシステムの設計方針を検討します。企画構想の重要性は、システムの成功に大きく関係しています。

この段階では、以下のことを検討し、企画提案書を作成します。
 ・ロボットシステムの使用目的や必要性
 ・システム要件や機能要件
 ・ロボットシステムの選定
 ・予算やスケジュールの策定
 ・システムの設計方針

③ 仕様定義

顧客と合意した企画内容を基に、納入仕様書や製作仕様書を作成し、作業内容やスケジュールを確定します。このプロセスにより、顧客とSIer双方のリスクを軽減できます。また、システム構築に必要な見積もりを補正することもできます。
このプロセスは非常に重要であり、運用イメージを明確にするために、3D図面やシミュレーションツールを活用することが推奨されます。このように、顧客とロボットSIerがコミュニケーションを十分に取り、明確な仕様を定義することで、システム構築作業をよりスムーズに進めることができます。

④ 基本設計・詳細設計

この段階で、基本となるコンセプト設計を行い、システム方針を明確にし、その後の総合テスト項目を立案します。同時に、自動化設備の安全リスクを明確にし、顧客の承認を得て、安全対策を設計に反映させます。
このリスクアセスメントシートは、後の出荷前テスト及びユーザーテストのタイミングで見直しを行います。
次に、図面一式を承認図として、顧客の承認を得た上で、詳細設計・購入品手配に着手します。この段階で、基本設計の内容を掘り下げ、より具体的なシステムの定義づけを行います。
同時に、出荷前テスト仕様を設計し、出荷前の最終確認事項を明確化した上で、製造へと移っていきます。

⑤ 出荷前テスト

システムの詳細設計に基づき、ロボットを組み合わせたシステム全体としての動作確認を行い、問題がないことを確認します。
次に、顧客やユーザーが立ち会って行われる検査を実施し、検査が完了したらユーザー指定の現場や設置先に移ります。
設置先では、製造時に単独で動作確認を行った装置を組み合わせて、システム全体の動作確認を行います。この動作確認の完了条件は、テスト計画で定義されます。
出荷前テストが完了した後、ユーザーによる立会検査を行い、検査が合格した場合に、製品を実際の顧客の設置先に移送・設置します。

⑥ 総合テスト

顧客の立ち会い検査が終わった後、ロボットシステムを顧客の設置場所に搬入して調整を行います。その後、ロボットSIerによる最終テストを行います。
このテストでは、基本設計で立案した項目に加え、出荷前テストで確認できなかった問題についても重点的に検証します。
この段階で問題がなければ、以降はユーザー主体でのテスト実施となります。

⑦ ユーザーテスト

ロボットシステムの本格稼働に先立ち、数量を減らして動作確認を行います。
動作確認では、性能、運用性、信頼性、安全性、メンテナンス性だけでなく、不具合発生時の対応方法も確認します。
問題がなければ、本格稼働に移行します。

RIPSにおける注意点

ロボットシステムの構築において、RIPSは標準化された手順の1つにすぎず、必ずしも全ての企業やプロジェクトに適用できるわけではありません。RIPSを有効に活用するには、プロジェクトの状況に合わせて柔軟にカスタマイズすることが重要です。
また、ロボットSIerのスキルだけに頼るのでなく、発注者であるユーザーも課題を明確化し、ロボットシステムの導入に役立つ情報収集し、ロボットSIerとのコミュニケーションを密にすることで、導入するシステムへの理解を深め、正確な情報伝達を行うことが重要なポイントとなります。

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