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ロボット導入時の事前検証とは|確認ポイントやテストの種類を解説

ロボット導入時の事前検証とは|確認ポイントやテストの種類を解説

ロボットを使った自動化装置を導入する際には大きな費用がかかります。装置が高額であることに加え、設置する際には生産ラインを一度止めて数日間設置作業を行うことになるため、ソフトウェアのようにまずはお試しで使ってみるようなこともできません。その代わりに、自動化装置全体ではなく部分的に検証を行い、課題がクリアできるか、SIerが提案した効果が本当に実現できるのかといった重要な点を確かめることがあります。
本記事では、ロボット導入時に行う事前検証について解説します。

アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすくて導入しやすいロボットシステムをご提供しています。
ロボット導入時の事前検証でお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。
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ロボット導入時の事前検証で確かめられるポイント

事前検証ではどういった点を確かめることが一般的なのでしょうか。よく行われる事前検証の内容を、いくつかご紹介します。

ロボットのレイアウト・動作

設計したロボットシステムを工場・倉庫などの現場に導入した際に、予定している動作が可能かどうかを確かめます。選定したロボットの大きさ等は適切か、既存設備とぶつからないかなどを確かめておくことで、設置・試験運転時に思わぬエラーが発生する可能性を減らすことにつながります。
エラーの一例として、ロボットが「特異点」という姿勢になり停止してしまうことがあります。特異点とはロボットの制御ができなくなる姿勢のことで、特異点になってしまうことが事前にわかっていれば、回避するプログラムを準備しておくことが可能です。

サイクルタイム

設備を導入する際に非常に重要なサイクルタイムについては、本当に試算通りになるのかどうか事前に確かめておきたいと考えている方が多く、よく行われる検証内容の1つです。例えば、前述の特異点回避のためにロボットの動きを変更すると、ロボットの姿勢変更にかかる時間が伸びてサイクルタイムが伸びてしまうことがあります。こういったリスク低減のためにも、サイクルタイム検証は重要です。

ワーク認識テスト

ロボット導入時の事前検証で確かめられるポイント|ワーク認識テスト
画像センサや3Dビジョンセンサでワークの位置・姿勢を認識してピック&プレイスするような場合には、そのワークが正しく認識できるのかどうかを事前にチェックします。
表面に光沢がある材質や、ガラス容器のような無色透明の材質、色柄のせいで重なっているときに輪郭が分かりにくいワークなど、認識しづらい条件は様々あり、カメラ選定や認識時の条件設定などに影響を及ぼします。動作の設計などの前に、まずは安定して認識できるかどうかのテストを行います。

ワークのピック&プレイステスト

複雑な形状のワークや、食品など柔らかくて変形するワークの場合には、正しくピック&プレイスできるかを事前にテストすることがあります。市販のロボットハンドでピックすることが難しい場合には、オリジナルで設計したり、ロボットの動作をゆっくり丁寧に行うことで解決できることもあります。

その他の特別なテスト

特殊なワークや特殊な動作を必要とする場合には、専用のテストを実施することがあります。弊社の場合は粉体のハンドリングをロボット化するようなご相談が多く、これまでに以下のようなテストを行ったことがあります。

例1:震動フィーダを使った粉体切り出し精度テスト

試薬の混合をロボット化したいというご相談で、粉体を測って取り分ける作業を高精度に行えるかどうか、事前に検証しました。粉末1粒1粒は非常に小さく軽く、静電気など様々な要因で正確に測りとれないことがあります。微量の粉体を秤量する必要がある場合には、その都度事前検証を行っています。

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例2:粉末状の食品にスプーンを差し込む

粉ミルクやプロテインなど、粉末状の食品で中に計量スプーンが同梱されているものを誰でも一度は目にしたことがあるかと思います。
ご相談の食品の場合は、スプーンを粉の上にポンと載せると蓋が締まらないため、ぐっと押し込み埋め込む必要がありました。この作業をロボットで行うことができるか、動作の検証を行いました。

ロボット導入時の事前検証の種類

事前検証には、ロボットの実機や実際のワークを使った検証と、専用ソフトを使ったシミュレーションの2種類があります。それぞれの特長について説明します。

シミュレーションソフトを使った検証

ロボット導入時の事前検証の種類|シミュレーションソフトを使った検証
ロボットメーカーや作成した専用のシミュレーションソフトや、いくつかのメーカーのロボットデータが入った設計シミュレーションソフトを使うことで、ロボットの実機がなくても動作を検証することが可能です。
ロボットシステムのレイアウト検証や、サイクルタイムの検証はシミュレーションで行うことができます。実機を動かすにはテスト機が必要なだけでなく、テスト用ワークの準備やロボットを動かす人手もかかるため、パソコン1つでできるシミュレーションの方が素早く検証が終わるというメリットがあります。

実機を使った検証・ワークテスト

テスト用のロボットと実際のワーク(あるいは同じ条件のサンプルワーク)を使うことで、シミュレーションでは行えない検証も実施可能です。例えば前述のワークのピック&プレイステストなどは実機で行う必要があります。
また、ロボットがどのように動くかはシミュレーションできても、それによってワークが破損するリスクなどは実際に動かしてみないと気づくことができません。より確実な検証結果が欲しい場合や、ワークが傷つきやすい材質でできている場合は、実機での検証を行うことをおすすめします。

ロボット導入時の事前検証を行うメリット

ロボットの導入の検討時に事前検証を行うメリットとしては、以下のような点があります。

具体的な導入効果を測る

ロボットシステムは導入に数百万円から数億円の費用がかかります。
また、ロボットを高精度に動かすためにはしっかりとした土台が必要で、床にアンカーボルトで固定することも珍しくありません。
投資金額が大きいことに加え、簡単に撤去できるような設備ではないため、事前に実現可能性や効果を確かめておくことが重要です。

リスクの洗い出し

製造・設置などの段階で問題が見つかると、追加の費用がかかってしまったり、予定していたスペースに入らなくなったりとさまざまな問題が発生します。
事前に見つけておけば、後から見つかった時よりも取れる対策の選択肢が多いことがメリットです。

導入スケジュール遅延の防止

ロボットシステム導入時には生産をストップして設置し、現場で試験動作をしてから再度生産が可能になります。課題が後から見つかったことでロボットシステムの納期が延び導入スケジュールが変更になった場合は、生産計画を調製することになるため大きな影響が出てしまいます。
事前に検証を行っておくことで、スムーズに導入できる可能性が上がります。

ロボット導入時の事前検証を行うデメリット

ロボットの導入の検討時に事前検証を行うデメリットとしては、以下のような点があります。

費用がかかる

実機やワークを動かしたり、ハンドツールの仮設計などを行うと、工数・材料代が発生しますので、有償テストとなる場合があります。
テストの結果導入を見送る可能性が高い場合は、無駄な費用の発生となってしまいます。

時間がかかる

テストの実施は、テスト用の設計やプログラム作成、試作部品製作、テスト実施、報告書作成、といった流れで行います。内容によっては数週間時間をいただくことになります。
ただし、検証時の設計図面やプログラムを流用することで、受注後の設計期間が短縮される可能性もあります。

ロボット導入時の事前検証は、ロボットSIer JRC【ALFIS】にご相談ください

ロボットを導入で高い効果を得るためには、事前検証を行い確かなデータを基に検討を行うことが重要です。
JRC【ALFIS】では、ご相談いただいた自動化内容に合わせて、どのような事前検証を行うことがおすすめかのご提案が可能です。
ロボットシステムの導入でお困りでしたら、ぜひ下のお問い合わせフォームからご連絡ください。

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私たちアルフィスはベルトコンベヤ部品の国内リーディングカンパニーのである株式会社JRCの新規事業として2018年に生まれた、ロボットSIer(システムインテグレーター)の事業ブランドです。

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