吸引で物を持ち上げたり、風圧で商品についたゴミを吹き飛ばしたりと産業ロボットに欠かせない存在である『電磁弁』。
今回はそんな電磁弁の基礎をご紹介いたします。
「電磁弁」は電磁石の力で急速開閉ができるバルブで、全開か全閉、どちらかのみの状態にするON-OFF弁です。配管の緊急遮断または緊急開放を目的としてさまざまな工業分野で使われていますが、身近なところでは、レストランやオフィスビルのトイレでよく見かける自動水栓(手を出すと水が出て、手を引っこめると水が止まる蛇口)にも電磁弁が組み込まれています。手の動きをセンサーが感知して、即座に電磁弁が開閉する仕組みです。他にも、全自動洗濯機や都市ガスにも使われています。
引用元:一般社団法人 日本バルブ工業会https://j-valve.or.jp/valve/automatic/
電磁弁の構造と種類
電磁弁には多様な種類が存在し、それぞれ異なる特性を持つことから、その種類の選択がとても重要です。
主に作動方式により、「通常閉型」と「通常開型」の二つの種類に分けられますが、他にも多種多様な特性や機能を持つ電磁弁が状況ごとに使い分けられています。
「通常閉型」の電磁弁について
通常閉型は電流を通すことで弁が開くという動作方式の電磁弁です。
そのため、停電などの緊急事態が発生した際には自動的に閉じるという安全性を持つ一方で、長時間開放状態を保つ場合にはそれだけ電力が消費されるという特性があります。
「通常開型」の電磁弁について
通常開型は電流が流れていない状態では弁が開いていて、電流を通すと弁が閉じる電磁弁です。冷却水などの流体を通常は流し続けておきたいが、特定の条件下で停止させたい場合などで用いられます。安全性に関しては、停電などの緊急事態が発生した際には弁が自動的に開き、危険な圧力上昇を防ぐなど通常閉型とは異なる点でアプローチ出来ます。状況にあわせて通常閉型と通常開型を使い分ける必要があります。
これら通常閉型と通常開型以外にも、電流によって流体の流れを逆にできるものも存在します。また電流の強さに応じて弁の開度を微妙に調整することが可能で、より精密な流体制御が求められる場合に使用される比例電磁弁などの特殊な電磁弁も存在します。
電磁弁を取り扱う上での注意点
電磁弁は、選定からメンテナンスまで、一貫して適切に管理することが重要です。ここでは、電磁弁の選定における重要なポイントとメンテナンスの重要性についてご紹介します。
電磁弁の選定における重要なポイント
電磁弁の選定では、特に素材の選定が重要視されます。流体の性質(たとえば腐食性があるか、高温かなど)や環境条件(湿度が高い場所や塩害のある環境など)に応じて、弁体やシール材料などの素材を選ぶ必要があります。素材が適切でない場合、故障や寿命の短縮を招く可能性があります。
その他の選定ポイントとしては「電磁弁の用途と動作条件」「電磁弁の種類」「電磁弁の安全性と法規制」「コスト」などが挙げられます。これらについても、詳しい技術者と相談の上で適切なものを選ぶことを推奨します。
メンテナンスの重要性
電磁弁は、定期的な点検や必要なメンテナンスを行うことで、異常を早期に発見し、寿命を延ばすことが可能です。特に、弁の開閉動作やリークの確認、電源とコイルの状態のチェックは欠かせません。
異常が発生した場合は、即座に対応することが求められます。そのためには、事前に電磁弁の動作原理を理解し、各部の役割を把握しておくことが重要です。
トラブルシューティングの必要性
メンテナンスの一環として、トラブルシューティングの実施が推奨されます。適切なトラブルシューティングを行うためには、メーカーのマニュアルや詳しい技術者のアドバイスを活用することが重要です。選定からメンテナンスまでの一貫した管理が、電磁弁の性能と安全性を保つ鍵となります。
現場での活用事例 「ローラ部品の油取り自動化」
元々人の手で重くて汚れた部品の洗浄を繰り返していた作業をロボットの導入で省人化。
導入前は人の手で拭き取っていた作業を、エアーで汚れを吹き飛ばす方法に変更しました。
そのエアーを出す工程で電磁弁が使用されています。
電磁弁とは何? まとめ
以上が電気弁に関する基本的な解説でした。
電磁弁は電気エネルギーを用いて流体の流れを制御する便利な装置です。種類や特性を理解し、適切に選び、正しく使用・メンテナンスすることで、我々の生活や工業活動をスムーズに進行させる役割を果たします。
しかしその選定やアフターフォローには多くの知識が必要になってきます。より効果的に活用を目指す場合は、専門家に依頼する事をお勧めします。
また今回紹介した電磁弁を含めたトータルソリューションにも対応いたします。
工場の自動化をご検討の際は、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。