技術コラム

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無菌環境下での自動化の課題|無菌環境下で使えるロボットの種類

無菌環境下での自動化における課題

医薬品の製造・開発では、分注や攪拌といった作業が繰り返し発生し、それらは無菌環境下で行われています。無菌状態を維持したまま作業をロボット化するためには、ロボットの材質や表面塗装、構造が滅菌可能であることが必要です。
ロボットは、クリーン度ISOクラス5、保護等級IP67に対応できるものが推奨で、IP65は必要です。
また滅菌範囲が滅菌の行き届く構造であることも求められます。

 

アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく、導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
自動化をご検討の際は、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。
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医薬品製造(無菌環境)におけるロボットへの滅菌について

医薬品製造工程では、コンタミ防止のために滅菌が行われます。
ロボットが導入されている工程においては以下の2種類の滅菌・殺菌が行われます。

滅菌は、消毒とは違い、微生物を限りなくゼロに減らして無菌と呼べる状態にすることです。
引用元:独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院

過酸化水素滅菌

過酸化水素を用いた滅菌には、高濃度の過酸化水素ガスを用いる方法やプラズマ化した過酸化水素ガスを用いる方法などがあります。
過酸化水素滅菌は低温低圧で行うことができ、生成物は無害で残留毒性もありません。一方で、浸透性はなく液体や粉末に対し滅菌を行うことは不可能です。
ロボットに過酸化水素滅菌を施す場合、過酸化水素で劣化しない表面塗装やステンレス等腐食に強い材質が採用された機種を選ぶ必要があります。
また、過酸化水素ガスがロボット内部に入り込むと排出に時間がかかってしまいます。配線を痛める可能性もあるため、関節部の密閉性も重要です。

紫外線殺菌

紫外線殺菌は、紫外線を照射することで菌のDNAを破壊する殺菌方法です。
液体の殺菌も可能で管理や自動化が容易、残留物がなく短時間で完了することがメリットとして挙がります。紫外線殺菌のデメリットには、物体の表面など紫外線の照射できる部分のみに効果があること、紫外線により材質が劣化することなどがあります。
紫外線殺菌を含む工程の自動化では、ロボットアーム及びロボットハンドには紫外線に弱い樹脂などが使用できません。また、ロボットの姿勢によって紫外線が遮られ殺菌が行き届かなくなってはいけないため、装置の構造だけでなくロボットの動作にも工夫が必要です。

その他の滅菌・殺菌方法

ロボット化された工程には使用し難いものも含めれば、様々な滅菌・殺菌方法が存在します。以下によく使われる滅菌・殺菌方法を紹介します。
滅菌・殺菌・消毒方法と使用可能な材質|無菌環境下での自動化

無菌環境下で自動化が可能な作業・工程

無菌環境下で自動化が可能な作業・工程
医薬品製造・開発では無菌環境下で行う必要がある工程・作業が多数あります。その中で、ロボット導入を行いやすい工程や作業をご紹介します。

無菌環境下での製造・加工工程の自動化

製造・加工工程では、薬品の注入・混合・攪拌などをロボットで代替可能です。また、製品容器などをコンベア上に整列させる、コンベアを載せ替える作業などもロボットが得意とする動作です。

無菌環境下での検査工程の自動化

検査工程では、検査機器への搬送・投入・取り出しなどをロボットで代替可能です。検査機器やセンサー等と組み合わせることで、工程次第で良否判定から仕分けまですべてロボット化できる可能性もあります。

無菌環境下での包装工程の自動化

包装工程では、カートナー等包装機への投入や箱詰め、出荷用の段ボール詰めなどにロボットが使用されます。菌の発生だけでなく、製品およびパッケージの破損や汚損にも注意が必要な工程です。

無菌環境に対応可能なロボット

無菌環境下で使用されるロボットには、一般環境下でのロボット化とは異なり材質や構造など必要条件が厳しくなるため、ロボットメーカーは無菌環境対応の特別なグレードのロボットを製造しています。
代表的な無菌環境対応ロボットを紹介します。

ストーブリ(株) TXステリクリーンシリーズ

TXステリクリーンシリーズは産業用クリーンルームロボットをベースに開発された、除染工程用のロボットで、過酸化水素滅菌が可能です。
特殊な表面仕上げやアームの密閉性に加え、ケーブル類の配線がすべて底面からとなっており、高い保護性を持っています。
GMP(Good ManufaccturingProcesses)グレードAに対応しており、保護等級はIP65です。
TXステリクリーンシリーズ

(株)安川電機 バイオメディカル用途向けロボット

㈱安川電機はバイオメディカル領域向けの産業用ロボットとして、単腕タイプで3種、双腕タイプで2種のロボットをラインナップしています。
産総研初ベンチャーであるRBI社が開発した、ライフサイエンス研究のベンチワーク自動化ロボット「まほろ」にも採用されています。
過酸化水素滅菌紫外線殺菌に対応しており、保護等級は手首部でIP67、基本部はIP65です。
バイオメディカル用途向けロボット

(株)デンソーウェーブ VS-050S2

過酸化水素滅菌や紫外線滅菌に対応でGMPグレードAに対応しています。
オプションとして医薬・医療等ロボットハンドが用意されており、ハンド部も本体同様の滅菌が可能になります。
クリーン度はISOクラス5、保護等級は手首部でIP67、基本部はIP65です。
VS-050S2

川崎重工業(株) MCシリーズ/MSシリーズ

医薬品メーカー向けに作られたISOクラス5のクリーン度を持つロボットで、過酸化水素滅菌にも対応しています。
対薬液性の高い表面仕上げのMCシリーズと、オールステンレス構造アルカリ洗浄も可能、7軸の自由度を持つMSシリーズがあり、保護等級はMCシリーズが手首部IP67、基本部IP65、MSシリーズがIP69Kとなっています。
MCシリーズ/MSシリーズ

無菌環境下での自動化は、ロボットSIer「アルフィス」にご相談ください。

無菌環境下での作業・工程にロボットを導入するためには、ロボットの選定から設計まで滅菌処理に関する知識をもって行う必要があります。
ALFIS〈アルフィス〉では、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
医薬品業界向けの自動化実績もありますので、無菌環境下での自動化にお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。

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ALFIS(アルフィス)について
ALFIS(アルフィス)について

私たちアルフィスはベルトコンベヤ部品の国内リーディングカンパニーのである株式会社JRCの新規事業として2018年に生まれた、ロボットSIer(システムインテグレーター)の事業ブランドです。

中小企業をはじめとした、「製造業」と「研究ラボ」における人材不足、生産性・品質・精度の不安定さ、過酷・危険・煩雑作業の課題を、産業用ロボット協働ロボットの活用によって解決し、確かな成果を挙げる「ロボット導入・ロボット化・自動化のトータルソリューション」をご提案します。

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