AI(人工知能)といえば、ChatGPTのような生成AIがよく話題に上がりますが、生成AI以外にも様々な種類のAIが我々の生活の中に入り込んでいます。
製造業においても産業ロボットの中にAIを組み込むといった事例が増えているようです。
今回は産業ロボットにAIを搭載する事で製造業にどのような変化をもたらすのかご紹介いたします。
AIに関する動向
「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉は、1956年のいわゆるダートマス会議とよばれる研究発表会において、米国の計算機科学研究者のジョン・マッカーシーによって初めて使用された言葉であるとされている。その後、いわゆるAIは期待と失望を繰り返しつつも関連の研究が進んでいた中で、近時目覚ましい研究成果を出すようになってきたことから、再び注目を集めるようになった。
具体的には、2012年10月、カナダのトロント大学教授のジェフリー・ヒントンを中心とするチームが、画像認識ソフトウェアの大会で2位に大差をつける高い精度を示して優勝したことが、AIに対する注目を集めるきっかけの一つとなったとされている。
引用元:総務省 令和元年版 情報通信白書のポイント
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd113200.html
従来の産業ロボットの課題点
すでに製造業の現場では多くの産業ロボットが導入されています。
それらのロボットにはAIが搭載されていないものも多く存在しますが、人手不足の解決や生産性の向上に大きく貢献しています。
しかしAIが搭載されていない従来の産業ロボットでは、下記のような課題があります。
- ティーチングが必要
- イレギュラーへの対応が苦手
- 日々の点検が必要
ロボットを正確に動かすためには「ティーチング」と呼ばれる作業内容を覚えさせる過程が必要になります。ティーチングにはロボットの専門知識が必要になり、担当者の教育も必要になってきます。
ティーチングされていない作業が発生した場合は上手く稼働しない場合があります。場合によっては0からプログラムを組む必要もあります。
ロボットに不具合が起こると製造ラインを止める可能性が発生します。そうならないためにも日々の点検は必要不可欠です。
産業ロボットにAIが組み込まれることのメリット
上記で説明した課題はAIを組み込むことによって解決することがあります。
自己学習による教育コストの削減
AIを搭載したロボットには自己学習機能があるため、ロボット自身が動作を分析し最適な動きをするためのティーチングを行うことが可能です。
そのため従来の人によるティーチングが不要となり、教育費などのコストも削減できます。
また操作においてもAIが自分で考えて動くため、人自身が覚えないといけない操作手順を減らすことが出来ます。
多品種変動生産への対応
従来の産業ロボットでは、あらかじめプログラムされた大きさや形のものに対し、決められた処理を行う事を得意としていますが、多品種変動生産で求められるような扱うものの形や大きさが変動的な処理は苦手としています。
しかしAIを搭載したロボットの場合は、自己学習機能によってイレギュラーな作業にも柔軟に対応することが出来るようになります。
そのためより人間が行っていた仕事をロボットに任せることができるようになり、生産性の向上に役立てることが出来ます。
故障の事前予測
産業ロボットを運用するにおいてロボットの故障は生産ラインを止める事に直結する大きな問題です。点検やメンテナンスを定期的に行っていても、人間の目では中々小さな異常に気付くことが出来ず、それらの異常が原因で故障したという事例もあります。
AIを搭載したロボットであれば、動作音や振動データを収集・解析し、故障に繋がる異常を自動検知し知らせてくれることも可能です。
異常の早期発見が設備停止といった大きなトラブルを防ぐために役立ちます。
既存の産業ロボットへの組み込みが容易
産業ロボット用に制作されたAIは互換性が高いものが多く、現場で既に稼働している既存のロボットに追加で搭載する事が可能な場合が多いです。
その場合は新規でAIを導入するよりも安いコストでの導入が可能です。
過信は危険?AIロボットの問題点
AIを導入する事によって様々なメリットが存在する事は上記の通りですが、導入を検討するのであればリスクも知っておく必要があります。
AIにおけるリスクとして大きなものは、AIが誤った判断をしてしまうことでしょう。
AIは様々な情報を元に機械学習を行いますが、与えた情報の中に誤った情報や古い情報がある場合は正しい判断を行うことが出来ません。
AIの判断を正確だと決めて任せきるのではなく、AIを使うのは人であり、その判断は人が必ず行うこと、AIの判断が正しいのかを見極めるための技術や知識を向上し続けることを意識しておく必要があります。
まとめ
本記事では産業ロボットにAIを搭載することで起こる変化についてご紹介させていただきました。AIを産業ロボットに組み込むことによって、従来のロボットでは出来なかった様々な処理も出来るようになります。今後の製造業の自動化においてはAIでのロボット制御はなくてはならないものになるでしょう。
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