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画像検査における照明の選び方とは?検査方法とよく使われる照明を紹介

画像検査における照明の選び方とは?検査方法とよく使われる照明を紹介

画像検査(外観検査)とは画像処理技術を使用して製品や部品の品質を評価するプロセスのことで、正確な画像処理のためにはカメラセンサの性能だけでなく、照明の選定や設置方法も重要です。
適切な照明を選択することで、ハレーションの発生等で細部が写らない、ワークの鏡面部分に写りこみが出現する、検出したい傷等が薄く映りコントラストが不足するなどといった問題により、不正確な検査結果の発生を防ぐことが可能です。
本記事では、画像検査の紹介とよく使われる照明の特徴について説明いたします。

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画像検査の種類|画像検査における照明の選び方

画像検査にもさまざまな種類があり、検査ごとに照明に求められる条件も異なります。まずは一般的な画像検査を紹介します。

寸法検査

寸法検査とは、物体の寸法や形状を計測し、仕様に合致しているかどうかを確認する検査です。カメラセンサのほかにはレーザーセンサなども活用し、物体の幅、高さ、長さ、角度などを測定します。

位置検査

位置検査とは、物体や部品の位置を測定し、指定された位置にあるかどうかを確認する検査です。部品の配置や組立工程の品質管理に使用されます。

欠陥検査

欠陥検査とは、物体の表面や構造に存在する欠陥や異常を検出します。ひび割れ、傷、欠け、異物混入などの欠陥を識別します。

色相検査

色相検査とは、物体の色相が一定の範囲内にあるかや色むらがないかなどを検査します。製品の外観の検査だけでなく、試薬の変色をチェックして品質を管理することなども可能です。

文字認識

文字認識とは、画像中の文字や数字を認識し、正確に読み取ります。OCR技術を使用して、印刷されたテキストや手書きの文字を識別します。

OCRとは
OCRとは光学文字認識(Optical character recognition)の略語。印刷あるいは手書きの物理的な文字をイメージスキャナーなどで画像データとして取り込み、傾き・歪み・かすれなどの補正やレイアウト等の認識と併せ、画像データ内の文字の形状を元に文字を特定し、デジタルデータとして扱うことができるテキストデータに変換するソフトウェアである。取り込みのためのデバイスを含めて指す場合もある(光学式文字読取装置 Optical character reader)。なお、狭義では、物理的な文字を「光学」的な仕組みを通じてテキストデータとして認識するものといえるが、画像データ自体からのアルゴリズムによるデジタル文字認識も含みOCRと言われることが多い。
引用元:日本電子出版業界

形状認識

形状認識とは、物体の形状や輪郭を認識し、異なる形状の物体を識別します。製品の分類や部品の位置合わせに使用されます。

照明の選定方法|画像検査における照明の選び方

画像検査に使用する照明の選定には、検査の種類、ワークの特徴など様々な条件から総合的に判断することが必要となりますが、主にチェックするべき3つのポイントをご紹介します。

カメラセンサが受け取る光の種類

ワークに対しどのように照明を当てるかによって、ワークの写り方が変化します。
カメラセンサのレンズが受け取る光には「正反射光」「拡散反射光」「透過光」の3種類があり、照明・ワーク・カメラセンサの位置関係によってどの光が届くかが決まります。

正反射光

光が物体の表面に当たったときに、同じ角度で反射する光です。鏡に映る姿はこの光を見ています。正反射光ではワークのエッジが際立ちます。

拡散反射光

物体の表面で不規則に反射される光です。光源からの方向に依存せず、物体全体に均一に広がるため、反射の影響を抑えたいときなどに選択します。

透過光

物体を透過して通過する光です。透けているワークの場合、反射光より透過光の方が傷等が見やすい場合があります。

照明の形状

照明の形状|画像検査における照明の選び方
前述の光の当て方をコントロールするためには、適した形状の照明を選択することが必要です。
よく使われる画像処理用の照明の形状としては、以下のようなものがあります。
 ・リング照明
 ・ローアングル照明
 ・ドーム照明
 ・バー照明
 ・バックライト照明
 ・同軸照明
 ・スポット照明

照明の色

画像検査では検出したいものを強いコントラストでカメラに写す必要がありますが、カメラセンサへの写り方は当てる照明の色によっても変化します。
ワークの色だけでなく、カラーカメラかグレーカメラかといったカメラセンサの性能によっても異なるため、照明の色とカメラの種類はいくつかの組み合わせを試して、最適なものを選択します。

照明の形状ごとの特長|画像検査における照明の選び方

画像処理用の照明には様々な形状があることを上でご紹介しましたが、ここでは照明の形状ごとの特徴について解説します。

リング照明

リング照明|画像検査における照明の選び方
リング照明は一般的な外観検査や欠陥検出に広く使用されます。ワークの表面全体を均一に照らし、視覚的な評価を行うために使用されます。
中央の穴からカメラセンサで撮影を行うための形状で、主に正反射光を使用して撮影します。

ローアングル照明

ローアングル照明|画像検査における照明の選び方
ローアングル照明は、光源がワークに対して水平面よりも低い角度で配置されるため、ワークの表面の凹凸や微細な特徴を強調し、影を生じさせます。これにより、ワークの表面の状態や形状をより詳細に評価することができます。
リング照明を使用する場合と比べると、カメラ・照明・ワークの配置は少し似ていますが、主に拡散反射光を使用して撮影します。

ドーム照明

ドーム照明|画像検査における照明の選び方
半球状のドーム内に光源が配置され、物体に均一に光を当てるための形状です。プリント基板やフィルムなどの平坦な表面の検査などに適しています。
光がワークに対し斜めに入射することから、反射が減少しグレアが抑制されます。主に拡散反射光を使用して撮影します。

グレア
グレアとは、「ぎらぎらする光」という意味であり、日本語では「まぶしさ」と訳している。グレアは、物の見え方の良否に影響を与える要因のひとつである。
視野の中に部分的に極端に明るい部分があると、見ようとする対象が見えにくくなる現象がおきる。例えば、夜間において対向車のヘッドライトによって、運転手が歩行者を見損なうことを経験することがあるが、この現象のように周囲が暗いと、一層グレアの影響が強くなる。
引用元:一般財団法人環境イノベーション情報機構

バー照明

バー照明|画像検査における照明の選び方
四角形の光源が、ワークに対して直線的に配置される形状の照明です。
照射角度が自由度高く変えられることが特徴で、特定の部分を強調したり、ある方向からの視覚的な情報を提供します。エッジや輪郭の強調することが得意で、主に拡散反射光を使用して撮影します。

バックライト照明

バックライト照明|画像検査における照明の選び方
バックライト照明は、ワークの背後に配置された光源が、物体の輪郭や内部の構造を強調するように照らします。物体の形状や外観、輪郭の検査などに適しています。
透過光、あるいは影を撮影します。

同軸照明

同軸照明|画像検査における照明の選び方
同軸照明は光源とカメラの光軸が同じ方向に配置される構造で、ワークに直接光が入射し、表面に垂直に反射します。これにより、反射光がカメラに戻りやすくなり、反射やグレアを最小限に抑えられるため、ワークの詳細な特徴を明確にするのに適しています。
主に正反射光を使用して撮影します。

スポット照明

スポット照明|画像検査における照明の選び方
スポット照明は特定の部分に焦点を当てた強力な光を提供し、欠陥の検出や特定の領域の強調に使用されます。主に正反射光または拡散反射光を使用して撮影します。

検査内容ごとによく使われる照明を紹介|画像検査における照明の選び方

画像検査の種類ごとに、よく使われる照明を紹介します。
実際の照明選定では、ワークの特徴や装置構造などいろいろな要素が照明の選択に影響を与えるため一概には言えませんが、一般的によくある組み合わせは以下のようになっています。

寸法検査によく使われる照明

寸法検査には同軸照明がよく使われます。寸法検査では、物体の表面や輪郭を正確に捉えることが重要であり、全体を均一に照らし、影を最小限に抑えることができる同軸照明はそのような要件を満たすのに適しています。
また、寸法検査にはストライプ投影照明などの構造を持つ照明が使用されることがあります。物体の輪郭や特定の部分に光のストライプを投影し、投影光とカメラセンサが受け取る反射光の違いから、高さ方向の寸法まで正確に測定します。

位置検査によく使われる照明

位置検査には寸法検査と同様の理由から、同軸照明が適しています。特に位置検査においては影の影響が少ないことは重要です。

欠陥検査によく使われる照明

欠陥検査には、ローアングル照明がよく使われます。ローアングル照明では光の照射方向と異なる方向にカメラセンサを置く「暗視野検査」が可能です。へこんでいる部分が暗くなり、エッジが明るく強調されます。反射の大きい材質のワークを均一に照らせることもメリットです。

色相検査によく使われる照明

色相検査では、形状よりも色が重要です。幅広い色域をカバーできる白色LED照明などがよく使われます。ワークの色相を正確にとらえるためには、特定の色の波長が抜けていると再現性が得られないため、均一なスペクトルの光が必要となります。
色むらを検出したい場合は、全体を均一に照らす拡散光が適しています。

文字認識によく使われる照明

文字認識では、全体に均一に照射することと文字の輪郭のコントラストを強く写すことが重要です。ローアングル照明や同軸照明などが適しています。

形状認識によく使われる照明

形状認識では、物体の輪郭や形状を強調するために均一な照明が必要です。リング照明やドーム照明が適しています。

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画像検査を正確に行うためには照明の選定も重要となりますが、非常に種類が多く、様々な要素から判断する必要があるため、ノウハウが必要です。
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