
製造現場における梱包工程では、箱を作る・製品を入れる・封をするといった一連の反復作業が発生します。なかでも封函作業を手作業で行っている場合には、時間がかかるほか作業品質のばらつきが生じやすくなります。
梱包工程を効率化する方法の一つに、封函の自動化があります。封函の自動化には“封函機”と呼ばれる機械が活用されており、産業用ロボットとの協働も期待されています。
この記事では、封函を自動化する封函機の仕組みや種類、導入のメリット、産業用ロボットとの協働体制について解説します。
封函を自動化する封函機とは
製品が入った段ボール箱に蓋をする封函作業を自動化するには、封函機と呼ばれる機械を導入することが一般的です。
封函機は、商品が入った段ボール箱に封をする作業を全自動または半自動で行う専用機械のことです。箱の上部を自動的に閉じて固定する機能があります。一定のスピード・品質で封函作業を連続して行えるため、手作業と比較して大幅な効率化が期待できます。
封函は粘着テープを使用する方法が一般的ですが、製品の特性に応じてホットメルトなどの接着剤が用いられることもあります。
製函機・梱包機との違い
封函機と混同されやすい機械に製函機・梱包機がありますが、それぞれ梱包ラインでの作業内容に違いがあります。
製函機は、平らなダンボールシートから立体的な箱を組み立てる機械です。梱包機は、梱包する対象にPP(ポリプロピレン)バンドを巻き付けて固定する機械です。梱包工程でのそれぞれの使用場面は、以下のとおりです。
| 梱包工程 | 用いられる機械 |
|---|---|
| 1.商品を入れるための空箱を作る | 製函機 |
| 2.商品を入れた箱を閉じる | 封函機 |
| 3.梱包物をバンドでまとめて荷造りをする | 梱包機 |
製函・封函の一連のプロセスを同じ機械で対応できる一体型の機種も存在しており、梱包ラインを連続的に自動化することができます。
封函機を導入して封函を自動化するメリット
封函機の導入により、生産ラインの効率化や人件費の削減などのメリットが期待できます。ここでは、特に重要な2つのメリットについて解説します。
梱包作業を省人化できる
これまで手作業で行っていた封函工程を機械に代替することにより、梱包作業の省人化を図れます。封函業務に配置していた従業員のリソースをより付加価値の高い業務に充てられるため、慢性的な人手不足を解消できる可能性があります。
梱包作業の品質を均一化できる
封函機を用いて梱包作業の一部を自動化することで、安定したスピードで正確にテープ貼りや糊付けが可能になり、作業品質の均一化につながります。
人間の手作業では、スキルの個人差や疲労などによって対応速度にばらつきが生じるほか、ミスによる不備も発生しやすくなります。封函機を利用して自動化することにより、一定の品質で作業ができるようになり、後工程での手直しの削減を図れます。
封函機の分類
封函機は、自動化の範囲やテープの貼り方、サイズ調整方法などによってさまざまな種類に分けられます。用途や生産規模に適した機種を選択することが重要です。
①自動化の範囲
どこまでの作業を自動で行うかによって、全自動型と半自動型に分類されます。生産規模や投資予算、運用体制に応じて最適なタイプを選択します。
全自動封函機
封函に関するすべての工程を自動で行うタイプです。
24時間の連続稼働による高い生産能力があるため、大量生産を行う大規模な工場に向いています。センサーによる箱の位置検出やサイズ認識機能を備えており、従業員のスキルや経験にかかわらず正確な封函作業を実現できます。
また、半自動型と比べると価格は高くなりやすいですが、完全自動化による安定した作業品質を保てるメリットがあります。
半自動封函機
封函工程の一部を手作業で対応するタイプです。機械によって異なりますが、段ボール箱のセッティングや位置調整を手作業で行うことが一般的です。
作業者の熟練度によって処理速度に差が生じる場合もありますが、設備投資のリスクを最小限に抑えながら自動化の効果を得られます。全自動型と比べて導入コストも抑えられるため、中小規模の製造現場や多品種少量生産に適しています。
②テープの貼り方
封函機は、対応しているテープの貼り方に違いがあります。製品の重量や輸送条件、品質基準などに応じて選択します。
I型封函機
I型封函機は、箱の上部に一直線にテープを貼って封函するタイプです。
構造がシンプルなため、スペースを取らない小型の封函機に多く見られます。手動型・半自動型・全自動型など機種が豊富で、導入コストや生産規模に応じた選択肢があります。軽量から中重量の製品封函に適しており、食品や日用品などの幅広い商品に採用されています。
上下I型封函機
上下I型封函機は、箱の上面と底面に同時にテープを貼るタイプです。
箱の上下を同時に処理できるため、底面の補強効果が得られます。ただし、H型と比べると強度が劣るため、重量物を入れる箱の封函には適していません。軽量から中重量の製品で、底面の補強が必要な場合に適しています。
H型封函機
H型封函機は、箱の上部中央だけではなく上面の両サイドにもテープを貼るタイプです。
封函の強度が求められる商品の梱包に適しているほか、テープが箱の継ぎ目を完全に覆うことによって異物混入のリスクを抑えられます。食品や精密機器など、衛生管理や品質保持が重要な製品の封函にも採用されています。
ただし、段ボール箱を回転させる機構が備わっているため、I型よりも大型になりやすく広い設置スペースが必要です。
③サイズの調整方法
箱のサイズを調整する方法によって、手動調整型と自動調整型に分けられます。生産する製品の種類や切り替え頻度に応じて選択する必要があります。
手動型
手動型は、ハンドル調整で封函する箱のサイズを調整するタイプです。ラインに流す箱のサイズが変わる際に手動調整が必要になります。調整作業には一定の時間を要しますが、機械の構造がシンプルとなるため、不具合の発生頻度を抑えやすくなります。
ランダム型
ランダム型は、箱ごとに異なるサイズに自動調整しながら封函できるタイプです。センサーで高さや幅を検知してテープヘッドやサイドガイドが自動で動作します、調整はエアシリンダーやサーボモーターで行われ、すばやく正確にサイズ変更が行われます。
梱包のサイズごとに手動で段取り替えを行う必要がないため、多品種のラインにも柔軟に対応できます。
封函機の選定時に確認するポイント
封函機によって処理能力や自動化の範囲、対応している封緘方法が異なります。ここでは、封函機を導入する際にチェックしておくポイントを3つ紹介します。
➀処理能力
封函機の処理能力とは、「1分間に何箱の処理ができるか」といった処理速度を指します。処理速度が速い機械ほど梱包工程のスピードを速められます。
梱包工程の生産効率を高めるには、前の工程(充填や製函)や後の工程(パレタイズなど)などの梱包ライン全体の進行を考慮して、停滞が発生しない処理能力を持つ機種を選ぶ必要があります。
②自動化のレベル
封函に関する一連の作業において「どこまで自動化できるか」を確認します。
梱包工程を完全無人化するには、全自動型の封函機が必要になります。初期投資は大きくなりますが、人件費の削減や生産性の向上といった効果が期待できます。
一方、半自動化は導入コストを抑えられるほか、人の作業と機械を組み合わせることによって多品種少量生産にも柔軟に対応することが可能です。
③対応しているサイズや封緘材
封函機によって対応している箱のサイズや封緘材は異なります。現在取り扱っている製品だけでなく、将来の製品展開も考慮して封函機を選定することが必要です。
封函機の封緘方法には、以下が挙げられます。
- 粘着テープの貼り付け
- ホットメルト(糊)による接着
- ボールのフラップ(蓋)部分の差し込み など
粘着テープは汎用性が高く、幅広い製品の梱包に採用されています。透明のOPPテープやクラフトテープ、布テープなどが使用されます。
ホットメルトは、強固な接着力と防水性能があり、輸送中の開封や異物混入を防ぐことが可能です。テープが見えないため、外箱のデザインを際立たせたり、見栄えをよくしたりする場合にも採用されます。
差し込み方式での封緘は、スムーズな開梱がしやすいですが、輸送中に衝撃を受けると蓋が空いてしまう可能性があるため、注意が必要です。製品の特性や輸送条件、コスト面を総合的に判断して選択しましょう。
封函の自動化にロボットを活用するメリット
近年注目されているのが、産業用ロボットを活用した封函の自動化です。従来の専用機にはないさまざまなメリットがあります。
製函から封函まですべての工程に対応できる
産業用ロボットを活用すると、箱組みから封函までの工程に対応できるようになります。
一台のロボットが複数の工程を担当するため、製函機と封函機をそれぞれ導入する必要がなく、梱包ラインを包括的に自動化できます。協働ロボットを活用すると、半自動型の梱包ラインへの組み込みもしやすくなり、作業効率の向上を図れます。
また、プログラムの変更によって異なる箱の仕様や作業手順にも対応でき、生産ラインの柔軟性を高められることもメリットの一つです。
さまざまな品種に対応できる
封函機が対応できる箱の種類には制限がありますが、ロボットによる封函であればさまざまな種類やサイズの箱の封函を行えるようになります。特殊形状の箱や不規則なサイズの製品にも柔軟に対応できるため、多品種少量生産に適しています。
また、サイズのデータや作業手順を事前に登録しておくと、箱の種類を簡単に切り替えられ、新商品を製造する際に梱包方法を柔軟に調整できるようになります。そのほか、ロボットのプログラムによっては現場に合わせた機能拡張を行えるものもあります。
まとめ
手作業で行っていた封函工程を自動化することで、梱包スピードの向上やリソースの最適化が可能になり、工場全体の生産性向上につながります。
封函機にはさまざまな種類があるため、処理能力や自動化の範囲、対応しているサイズ・封緘方法などを確認して選定することがポイントです。
また近年では、産業ロボットを活用した梱包ラインの自動化が注目されています。従来の封函機よりも柔軟性のある自動化体制を構築できるため、持続的な生産性向上を目指せます。製品の特性や生産規模などに応じて自動化の戦略を立てましょう。














