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滅菌・殺菌とは?よく使われている微生物の殺滅方法を紹介

滅菌・殺菌とは?よく使われている微生物の殺滅方法を紹介

医療関係や飲食関係、医薬品等研究開発などの現場では、器具を煮沸したりアルコールで拭きとったり、あらゆる方法で菌を排除する処理が行われており、その目的も感染の防止、品質の管理、コンタミの防止など様々です。
本記事ではよく使われている滅菌・殺菌方法の紹介をいたします。

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EOG滅菌

EOG滅菌とは、酸化エチレンガス(Ethylene Oxide Gas)を使用した滅菌方法です。ガスを充満させて機器類を滅菌します。
酸化エチレンには微生物の核酸(RNA・DNA)やたんぱく質をアルキル化する効果があり、あらゆる微生物に効果があります。処理温度が37~60℃と低く非耐熱器材にも使用可能です。金属を腐食せず、ガスであるため凹凸の多い表面形状の器具にも効果がありますが、湿潤している物やガスが通らない部分には使用できません。

EOG滅菌のデメリットは毒性が高いことです。酸化エチレンには発がん性があり、二次生成物であるエチレングリコールも有毒であるため、滅菌後にはこれらが残留しないよう確実に除去する必要があります。滅菌後に行うエアレーション(残留を防ぐためのガス濃度低減)も8時間以上かかりますので、処理にかかる時間が長いこともデメリットであると言えます。
医療用のプラスチック製品や、複雑な形状の医療機器類などに使用します。

乾熱滅菌

乾燥した空気中で加熱して、微生物を殺滅する方法です。電気オーブンを使用します。
加熱するだけなので小型の装置で処理が可能で、水に弱い材質や蒸気の浸透しない材質のものも処理できます。
一方で、加熱するため熱に弱い材質の物を滅菌することができず、熱に強い「芽胞」を形成する菌(例:納豆菌)なども処理ができなかったり、長時間かかったりします。
ガラス製の器具や粉末などの滅菌に使用します。

高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)

高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)
高圧蒸気滅菌とは、高温高圧の飽和水蒸気中で加熱することで微生物を殺滅する方法です。
乾熱滅菌に耐える芽胞なども処理することができ、乾熱滅菌よりも幅広い器具・物品・液状物質に使用可能です。
EOG滅菌と比較すると低コスト・短時間で処理ができ、液状の物質でも問題がありませんが、熱に弱い材質には処理できません。コンタミの原因となるリポ多糖など除去できない物質があります。
医療現場や研究室などで、機器類や培地の滅菌に使用します。
乾熱滅菌と高圧蒸気滅菌の温度ごとの処理時間

火炎滅菌

バーナーやアルコールランプを使い、火炎中で加熱する滅菌方法です。
非常に短時間で実施でき、特殊な装置なども不要なため手軽に行えます。
火炎によって破損することがなく、手元であぶることができるような滅菌部が小さい場合にのみ使用できる方法で、現場で使用する直前に器具の一部分のみを滅菌する場合などに用いる方法です。

放射線滅菌

ガンマ線や電子線で微生物のDNAを破壊する滅菌方法です。後処理不要で残留物がなく、梱包状態の器具に対して梱包したまま実施することができることがメリットです。電子線はガンマ線に比べてより短時間での処理が可能です。
放射線により劣化する樹脂やゴムなどの材質には処理を行うことができず、厚みのあるものなども不可能です。処理装置が大型であることもデメリットの1つです。
使い捨ての注射器や容器、包装材などの滅菌に使用されています。

過酸化水素プラズマ滅菌

過酸化水素ガスを高周波エネルギーによりプラズマ化させることで、微生物のDNAを破壊する滅菌方法です。低温低圧で実施でき、生成物も水と酸素であるため残留毒性がありません。
しかしEOG滅菌と比べると同じガスでも浸透性が劣ります。液体や粉末の他に、過酸化水素を吸着する繊維類などにも行うことができません。
手術に使用する医療用機材などへの滅菌に使用されます。

高周波滅菌

マイクロ波の照射による熱で微生物を殺滅する方法です。短時間で処理が完了し、連続的な処理に適しています。対象が液体や水分の多い材質でも処理可能で、残留物はありません。
対象のみを加熱するため、加熱による内圧の上昇や熱の発生に偏りがないかなどに注意が必要です。
液体や培地などの滅菌に適しています。

紫外線殺菌

紫外線殺菌
紫外線の照射により微生物のDNAを破壊する滅菌方法です。液体にも照射可能で残留物がなく、短時間で処理が完了する所は高周波滅菌と共通しています。
DNAに吸収されやすい波長のピークは185nmと265nmの2か所にありますが、殺菌灯としては波長253.7nmがよく用いられます。
紫外線は物質表面等光が当たる場所にのみ照射可能であるため、材質や形状によっては当たらない部位等が出てしまいます。紫外線により劣化する樹脂等にも使用できない方法です。
施設・設備等広範囲への殺菌や、水、医療器具等にも使用されます。

二酸化塩素殺菌

二酸化塩素のもつ強力な酸化作用により、アミノ酸を酸化して微生物を殺滅する方法です。二酸化塩素の発生方法や利用方法は多岐にわたり、幅広い場面で使用できますが、医薬品・医薬部外品の消毒剤としては未認可の成分です。
揮発性があり有毒であるため、簡単に使用できる一方で使用時には注意が必要です。
プールの消毒や、空間除菌、小麦粉の漂白などにも使われています。

オゾン殺菌

オゾンの分解時に発生する酸素原子の強い酸化力で微生物の細胞膜を破壊し、微生物を殺滅する方法です。殺菌効果の他には脱色・脱臭などの効果もあります。基本的には毒性のある二次生成物を発生させず、オゾン自体も自然に分解して酸素になるため、安全性の高い成分です。
水に溶解しにくく、湿度が高い場合は発生量が減少するため効果が減少してしまいます。
食品工場の空気や水の殺菌、植物性の食品の殺菌などにも使用します。

煮沸消毒

沸騰した水中で加熱して殺菌する方法です。非常に簡単に実施でき、液状のものにも効果があります。
殺菌対象あるいはその容器の耐熱性には注意が必要です。デメリットとしてはウイルス等には効果がなく、殺滅できる微生物が限られています。
医療・食品業界から一般家庭まで様々な場面で使われています。

流通蒸気消毒

過熱した水蒸気を流通させて殺菌する方法です。常圧で使用でき、液状のものにも効果があります。煮沸消毒同様に耐熱性に注意が必要で、宇井津須藤には効果がありません。
繊維製品、培地、試薬、液状の医薬品など、煮沸することが難しい場合に使用されます。

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今回は、様々な殺菌・滅菌等の方法を紹介しました。こういった方法は医薬品や食品等の製造現場でも使用されていますので、生産工程のロボット化を検討するにあたり、ロボットへの滅菌や殺菌がネックになる場合もあります。

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