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袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化の課題について解説

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化の課題について解説|JRC【ALFIS】

工場や物流拠点で、パレタイズおよびデパレタイズ工程を自動化するロボットは、いくつものメーカー・SIerが開発していますが、その多くが段ボールやコンテナを取り扱うためのものです。
袋物もパレットを使って輸送されることが多い一方で、段ボールのような箱型のものとは性質が異なるため、パレットへの袋の積み付けや積み下ろしをロボットで行うには、ロボットシステムの構成や動作プログラムを替える必要がある場合があります。

この記事では、袋物のパレタイズ・デパレタイズ工程をロボットで自動化する際の課題点について説明します。

JRC【ALFIS】では、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすくて導入しやすいロボットシステムをご提供しています。
把持ハンドをつかったロボット化でお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程のワークに起因する課題

袋で梱包されている製品は数えきれないほどありますが、その中でパレットに直接積みつけて運ばれるものは一部です。
小さいもの・軽い物・袋が汚れてはいけないものなどは段ボール箱等に詰めたうえでパレットに積みつけるため、直接積みつける物は大きくて重い物が中心となります。例を挙げると、園芸用の土、25kgなど内容量の多い業務用の小麦粉やお米、樹脂のペレットなどがあります。

袋物のパレタイズ・デパレタイズの課題について、以下の2つの要素から説明します。

袋の材質

パレット輸送する袋としては、紙袋、麻袋、ポリ袋、ナイロン袋などがよく使われています。
積み付けやすいように型崩れしにくい四角い形状をした袋も販売されていますが、枕のようなマチのない袋が使われていることもあり、上手に積みつけなければ荷崩れが発生します。

ロボットでパレタイズ・デパレタイズを行う際には、袋の表面がどんな性質かによって、適したハンドツールを選びますが、どんなハンドを使っても伸びたり傷ついたりしてしまい、ロボット化が難しい素材もあります。
樹脂製の袋の中には色が透明のものもありますが、AIビジョンを使ったピック&プレイスを行う場合、透明の袋は認識に影響が出ることがあります。

袋の内容物

袋の中身は、細かい粒状、あるいは粉末状の物が大半です。袋の中で内容物が動くため、形状が変わります。
充填率が高く密閉されたものであれば、内容物が動いても大きく変形はしづらいですが、充填率が低い場合や袋が柔らかい場合は重心の位置が変わるほど偏ることもあり、荷崩れにつながります。

荷崩れしやすい袋物を積みつける場合、内容物の偏りを手で調整したり、人が目で確認しながらバランスよく積んだりすることで荷崩れを防止しています。プログラム通りに動くロボットは臨機応変に調整するような動きは難しく、人が行っていた崩れにくい積み方が再現できない可能性があります。

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程で使われるロボットハンド

ロボットシステムによく採用されるロボットハンドには、ワークをつめで挟んで持ち上げる把持ハンドと、ワークにパッド等を吸着させて持ち上げる吸着ハンドがあります。
袋物のパレタイズ・デパレタイズ工程を自動化する際にはどのような点を考慮して選定しているか、それぞれ説明いたします。

把持ハンド

高重量の袋には、把持ハンドが向いています。ハンドツールの特性上把持ハンドの方が吸着ハンドよりも重いものを持つのが得意であることに加え、内容物の重さによって袋が破損するリスクも小さくなります。
吸着ハンドでは袋の吸着している部分のみに重さがかかってしまい、しっかりと2面から挟んで持ち上げる把持ハンドに比べて袋に伸びや破れが発生する可能性が高いためです。

吸着ハンド

吸着ハンドは、袋がつるつると滑りやすく表面の摩擦が小さい材質の場合でも、しっかり持ち上げることができます。
また、袋の内容物が動きやすく搬送中に重心が大きく変わってしまう可能性のある場合にも、袋をしっかり吸着しているため落としづらいという特徴があります。
このように、把持ハンドでは持ち上げにくかったり落としてしまう可能性がある袋でも吸着ハンドであれば安定して運ぶことができます。

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化における、工程特有の課題とは

コンベヤ等で供給される袋をパレットの上に積みつけるパレタイズ工程と、パレットに積みつけられている袋を1つ1つばらして降ろすデパレタイズ工程では、それぞれの工程に特有の課題もあります。
ここまでは袋自体に起因する課題やハンドツールの選定など、パレタイズ工程とデパレタイズ工程で共通している課題を説明してきましたが、本稿ではそれぞれの工程特有の課題について説明します。

袋物パレタイズの課題

袋物の製品のパレタイズは、メーカーからの出荷時や物流倉庫での仕分け時などに行われます。
袋物はロボットが持ち上げて、パレットのところまで運び、パレットの上に置く間に袋の形が変わります。さらに、隣や上に他の袋が積まれたときにも変わることがあります。袋が変形し重心が移動すると、袋が傾いたりずれて動いたりしてしまい、輸送時に崩れる可能性が高くなります。滑りやすい材質の袋の場合はさらに崩れやすくなります。

人の手で積みつける時には、目で様子を確認しながら調整して積むことができますが、プログラム通りに動くロボットにはそれができないため、プログラムを工夫して搬送中の変形を最小限に抑えたり、まっすぐ積むためのガイドを使ったりする必要が出てきます。

袋物デパレタイズの課題

袋物の製品のデパレタイズは、メーカーに入荷した材料をパレットから降ろして加工工程に送る時などに行われます。
デパレタイズを自動化する際に、常に同じようなワークが同じように積まれて供給されるような場合は、同じ位置からワークをピックするプログラムを組むことが可能です。
しかし、様々なワークが様々な積み方で供給される場合や、1つのパレットに何種類ものワークが積まれている混載パレットの場合は、ビジョンシステムを使ってワークの位置・大きさ等を認識し、ロボットがピックするという方法を取ることになります。

袋物のワークは、表面にしわが入ったり形が一定ではないため、ビジョンシステムで1つ1つ正確に認識することが困難な場合があります。認識が難しいワークを扱う場合は、ビジョンシステムの設定に特別なノウハウが必要です。

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化例

袋物のパレタイズやデパレタイズをロボットで自動化する課題解決事例を、2例ご紹介いたします。

Mech-Mind製ビジョンを使用した袋のデパレタイズ

Mech-Mind製ビジョンシステムを使用した、袋物のデパレタイジング事例をご紹介いたします。
Mech-Mind製ビジョンを使用した袋のデパレタイズ|JRC【ALFIS】

自動化のポイント

・麻袋表面に皺や変形、模様などの複雑な状況にも容易に対応
・破袋機とシームレスに併用し、ユーザーのニーズを満たすタクトを実現

麻袋デパレタイジング事例|JRC【ALFIS】
事例の詳細

変形しやすい麻袋も、Mech-Mind製の高性能なビジョンシステムで正確にデパレタイジング

袋と箱を1台のロボットで自動でパレタイズ・デパレタイズ

袋物のパレタイズとデパレタイズを1台のロボットで行う自動化装置を、「第26回 関西機械要素技術展」で展示いたしました。
展示機の様子を動画でご覧いただけます。

袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化は、ロボットSIer JRC【ALFIS】 にご相談ください

袋物のパレタイズ・デパレタイズには段ボール箱のような固形物とは異なる課題があり、自動化が難しい作業です。
導入できるかを検討する際には、まずはワークをハンドツールで掴むことができるのか、ビジョンシステムで認識することができるのかなど、一度テストを行って試してみることで、より正確な費用や懸念事項などを把握できることもあります。

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