工場では、生産性の向上や人手不足、品質の安定化などさまざまな課題が発生しています。それらの課題を解決するために導入が進んでいるのが、「産業用ロボット」です。
この記事では、産業用ロボットを活用した自動化のメリットや、産業用ロボットの種類ごとの特徴について解説します。
産業用ロボットとは?
産業用ロボットは、自動車や食品・医薬品、また重労働の多い金属加工などの工場において、生産効率の向上や、作業者の負荷軽減を実現するために開発された、工業用のロボットです。
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工場における自動化の課題
経済産業省が公開している「2022年版ものづくり白書」によると、日本の製造業における営業利益率は、アメリカ・EUにくらべて低い水準にあります。また製造業の就業者数は、約20年で150万人以上減少しており、特に若ものの減少が顕著です。
これらの課題を解決するため製造業では、ITによる業務の効率化や省力化が急務となっています。その代表格としてあげられるのが、産業用ロボットやIoT、AIを活用した自動化技術です。
国内の製造業就業者数については、2002年の1,202万人から2019年には1,063万人と、20年間で11.6%減少しており、全産業に占める製造就業者の割合も2002年の19.0%から2019年の15.8%に減少している
産業用ロボットを活用した自動化のメリット
自動化技術のなかでも「産業用ロボット」を活用した自動化には、さまざまなメリットがあります。
産業用ロボットによる、人手不足の解消
製造業の現場では、人手不足が課題となっています。特に、重労働が必要とされる機械加工や産廃関連、きびしい衛生管理が必要とされる食品や医薬品の工場ではその傾向が顕著です。
産業用ロボットを導入することで、これまで人が行っていた作業をロボットに任せることができるため、作業者を「より付加価値の高い作業」に従事させることが可能です。
また、重労働をロボットが担うことで、作業者の負担を低減し、離職率の低下にも貢献します。
産業用ロボットによる、品質の安定化と生産性向上
人の体力や集中力には限りがあり、長時間おなじ作業を繰り返すのはかんたんではありません。その結果、作業スピードの低下やミスが発生し、不良品や生産性の低下が発生します。また、いくら正確に作業を行なっていても、作業者ごとのばらつきをゼロにすることは困難です。
産業用ロボットであれば、人のように、集中力や個人差により作業がばらつくことはありません。
適切な条件でメンテナンスを行っていれば、おなじ作業を長時間継続できるため、品質の安定化や生産性向上が可能です。
産業用ロボットによる、熟練作業者が持つ技能の継承
むずかしい作業の場合、経験豊富な熟練作業者が必要になる場合があります。しかし、若い作業者が不足していることに加え、高い技能を習得するためには、時間をかけて経験を積む必要があります。
産業用ロボットであれば、これまで熟練作業者が行っていた動作をプログラム化することで、複雑な作業でも迅速に行うことができます。さらに近年は、AIを活用することで、自身で学習を行うような産業用ロボットも開発されています。
工場に導入される産業用ロボットの種類
工場に導入される産業用ロボットについて、それぞれの特徴を解説します。
ロボットアーム(産業用ロボット)
「ロボットアーム」は汎用性が高く、人間の腕の動きを再現しやすいため、さまざまな用途で利用されています。(その構成から「垂直多関節ロボット」ともよばれます)
各ロボットメーカーがさまざまな機種を展開しており、目的にあわせたロボットアームの選定が可能です。
ロボットアームは、塗装や溶接などの加工から、人間が行うような組み立て・搬送作業まで、幅広い工程で利用されています。
ロボットアームの弱点としては、制御が必要な間接が多く、これらを連動させて稼働させる必要があるため、制御プログラムが複雑になってしまう点があげられます。
パラレルリンクロボット(産業用ロボット)
「パラレルリンクロボット」は、先端の一点の位置を制御する“パラレルリンクメカニズム”によって構成されたロボットです。並列に配置した複数のアームを連動させることで、高速で精度の高い動作が可能です。
ロボットアームに比べると機構がシンプルなため、修理の際のコストも抑えることができます。
パラレルリンクロボットは、食品工場や電子機器工場での整列・選定や、組み立てなどで利用されています。
協働ロボット(産業用ロボット)
「協働ロボット」は、安全センサの開発や規格の緩和などにより、作業者とおなじ空間で稼働することができる低出力のロボットです。
従来、産業用ロボットは、作業者とロボットの間に「安全柵」を設置する必要があり、設置には広い空間が必要でした。協働ロボットではこれらの規制がなくなり、作業者との協働作業が可能になっています。ロボット導入時のライン変更を最小限に抑えることができ、人と働くロボットとして注目されています。
スカラロボット(産業用ロボット)
「スカラロボット」は、ロボットアームの水平面を高速で移動させることができる小型のロボットです。(その構成から「水平多関節ロボット」ともよばれます)
アームの先端部を上下に動かすことで、移動や圧入などの単純作業を行うことができます。
スカラロボットは、主に部品の搬送や、高さの低い電子基板の組み立てなどに利用されています。
直交ロボット(産業用ロボット)
「直交ロボット」は、直線的な動きを行うユニットを組みあわせた、シンプルな構成のロボットです。
直線状の動きしかできませんが、位置精度が高く、高速で動作することができます。また、構成要素が少ないため、故障が発生しにくくメンテナンスも容易です。
直交ロボットの用途としては、主に部品の搬送や電子部品の実装などがあげられます。
双腕ロボット(産業用ロボット)
「双腕ロボット」は、ロボットの胴体に取り付けられた二本のアームで、複雑な作業を可能にした人型に近いロボットです。それぞれのアームには「ロボットアーム型」のものと「スカラロボット型」のものがあり、ロボットアーム型のものは加工や溶接、組み立て、スカラロボット型のものは検査や組み立て、ハンドリングなどに用いられています。
搬送ロボット(産業用ロボット)
「搬送ロボット」は、工場内の搬送を担うロボットです。工程間の製品搬送を行ったり、完成品を出荷場まで搬送するなど、ロボット単体で移動可能なものが、搬送ロボットに分類されます。
(スカラロボットやロボットアームでも、搬送用途に用いられるものは、搬送ロボットとして分類されることがあります)
代表的な搬送ロボットには、決められたルートを移動する「AGV」や、自動搬送型の「AMR」があります。
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産業用ロボットの導入は、工場における人手不足や、作業者の負担軽減を実現するために効果的です。「ロボットアーム」や「協働ロボット」など、さまざまな種類があるため、工場のラインや作業の内容にあわせたロボットの選定が重要です。
アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
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