近年、急速に進行する少子高齢化を受け、製造業の現場においては、生産性向上やコストダウン、品質向上を目的として、ロボットの導入・活用がますます注目されています。
ロボットの導入に欠かせないパートナーとして「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)」と呼ばれる企業が存在します。
そこで、この記事では、ロボットSIerの役割、ロボットSIerにロボット導入を依頼するメリットと注意点について具体的に解説します。
自動化をご検討の際は、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。
ロボットSIerはロボットの導入・活用を幅広くサポートする専門業者
ロボットSIer(ロボット・エスアイアー)とは、「ロボットシステムインテグレータ(Robot System Integrator)」の略で、ロボットの導入・活用を幅広くサポートする専門業者のことをいいます。
ロボットの導入を検討するお客様の現場課題を分析し、最適なロボットシステムを構築するために、様々な機械装置や部品などから必要なものを選別し、システムとして統合(インテグレーション)するエキスパートであり、これからの社会にもたらす役割への期待がますます高まっています。
「ロボットによる自動化を実現したいが何から手をつければ良いのか分からない」といったお客様に対し、ロボットシステムの「構想・企画」、「設計」、「組み立て・設置」などを行うことが主なロボットSIerの仕事です。
中には、ロボットハンドや付帯装置、治具といった周辺パーツの製作・供給、独自のソフトウェア開発・提供、導入後の定期メンテナンスなどアフターフォローまで一貫して担うロボットSIerも存在します。
皆さんが最初に頭に浮かぶイメージは、アニメや映画で見た、あるいは商業施設等の店頭で話しかけてくる人型ロボットかもしれません。実際は、多くの企業の製造現場で用いられる産業用ロボット、そして今後の大幅な利用拡大が予測されるサービスロボットの分野など活躍のフィールドは多岐にわたります。しかし、ロボットは買ってきてすぐに役立つわけではありません。導入される現場にあわせたロボットシステムとして創り上げることではじめて、ロボットは機能するのです。それはまさにロボットに命を吹き込む仕事。それを司るのがロボットSIerなのです。
引用元:経済産業省・関東経済産業局『ロボットに命を吹き込む仕事。~ロボットシステムインテグレータ~』(PDF:6,678KB)
ロボット導入はメーカーに直接依頼すれば良い?
「ロボットの導入は、ロボット本体を作っているロボットメーカーに直接頼んだ方がスムーズで良いのでは」と思われた方もいるのではないでしょうか。
しかし、ロボットによる自動化を進める場合、ロボット単体をメーカーから購入し、設置すれば良いという単純なものではありません。
基本的には、ロボットメーカーではロボットの導入・システム構築には対応していません。
なぜなら、ロボットメーカーが販売するロボットは「半完結製品」とも呼ばれ、人の手のように物をつかむためのハンドが取り付けられておらず、動き方の教示もされていないことが一般的だからです。
さらに、ロボットの型だけでも、直交型・垂直多関節型・水平多関節型(スカラロボット)・パラレルリンク型・双腕型など、複数の種類があり、メーカーによっても異なる特徴・特性があります。
そのすべてを理解するためには、膨大な時間と労力がかかります。
加えて、ロボット以外の周辺機器・システムについての知識も必要となると、特に中小製造業の企業では、単独で自社の生産ラインに適合するロボットシステムを構築することは非常に難しいといえるでしょう。
ロボットシステムインテグレータに依頼する理由
ロボットによる自動化を実現するためには、その現場ならではの作業用途・目的を明確にし、ロボットに関する知識はもちろん、ハンド、ビジョンセンサ(カメラ)、周辺機器などのハードウェアを組み合わせ、それらがうまく機能するようにソフトウェアをプログラムするインテグレーションの作業が必要となります。
前・後工程を含めてスムーズに工程管理するためのシステム設計や通信・情報セキュリティなど幅広い知識と経験が求められます。それこそが、お客様がロボットの導入をロボットSIerに依頼する理由であり、ロボットシステム構築のプロ集団であるロボットSIerに期待される役割です。
ロボットの導入についてロボットSIerに依頼する6つのメリット
ロボットシステム構築のプロ集団であるロボットSIerに依頼してロボット導入を進めることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを6つご紹介します。
ロボット導入までの時間を大幅に短縮できる
自社のみでロボット導入を行う場合、必要なロボット、関連装置、周辺設備を選別・統合するために、メーカーごとに問い合わせを行い、個別に打ち合わせをする必要があり、多くの時間と手間がかかります。
一方、ロボットSIerに依頼する場合、それらの煩雑なやり取りをロボットSIerに一任でき、窓口も一本化されるため、最短距離での導入が可能となります。
構想から導入後のアフターフォローまでサポートしてもらえる
ロボットSIerにロボット導入を依頼する場合、構想段階からロボットの設置、試運転、調整、導入後の運用支援、メンテナンスまで一貫してサポートしてもらえる場合が多いです。
定期的なメンテナンスを受けることで、長く安全にロボットシステムを活用できます。
現場の予算・規模感にあったロボット導入を提案してもらえる
あらかじめ予算を伝えることで、その予算内でのロボット化の提案をしてもらえます。
例えばロボット導入の目的が工程の効率化の場合、ロボットSIerは工程内のどの作業をロボットに置き換え、どこまでは人が行うべきかといった内容を複数提案してくれます。
また大規模工場の新規生産ライン構築に限らず、中小規模の生産工場で、今ある製造ラインを活かして導入するようなケースでも、スペースや人員などに配慮された提案がもらえます。
自社の予算や想定されるコスト、現場の規模と照らし合わせ、納得できる提案を採択できます。
消耗品を提供してもらえる
ロボットシステムを構成する部品それぞれにも寿命があります。
消耗品を交換しないで使い続けた場合、ロボットシステム全体の寿命が短くなります。
ロボットSIerにロボット導入を依頼した場合、正しいタイミングで消耗品を供給・交換してもらえます。
ロボットの運用に精通した人材を派遣してもらえる
突発的な故障時の対応や、人手不足により点検・メンテナンスが困難である場合にも、ロボットSIerへ導入を依頼していた場合には、ロボット運用に精通したメンテナンスエンジニアや生産オペレーターなどのスペシャリストを派遣してもらえる場合があります。
ロボットの運用データを分析し改善提案をしてもらえる
ロボットを運用していくとさまざまなデータが蓄積されます。ロボットSIerは、定期的に蓄積データを確認し、データを集めることによってメンテナンスサービスや運用の改善案を提案してくれるので、より効率性の高いロボット運用が可能になります。
ロボットの導入についてロボットSIerに依頼する際の6つの注意点
ここまで、ロボットSIerを活用するメリットをご紹介しましたが、逆に注意すべき点はどのような内容でしょうか。
ロボットSIerに依頼するときの注意点について6つのポイントをご紹介します。
目的を明確にしてから依頼すること
ロボットを導入すれば、必ずしも作業効率が良くなり、大きな利益が発生するとは限りません。
ロボットを導入することで何を実現したいのか、人員削減、作業の効率化、環境の改善、生産量アップなど、何を最も優先したいのかを依頼前に具体的に決めることが重要です。
目標・目的を明確にした上で、ロボットSIerの理解にズレがないように、互いが納得できるよう、詳細まで伝える必要があります。
例えば、「この工程は作業員を10人から5人まで半減させたい」「人員はそのままで、生産量は3倍に増やしたい」など具体的な数値目標があるとロボットSIerもより現場の希望にあった具体的な提案が可能となります。
ロボットSIerが得意とする分野かどうか
ひと口にロボットSIerと言っても、会社ごとに得意分野が異なります。
例えば、メーカー系列のロボットSIerは、特定のロボットに対して深い知見を持っているものの、逆にその他のロボットについては扱う機会が少なく、対応が困難な場合があります。
依頼予定のロボットSIerがこれまでどのような業界・分野を手掛けてきたのか、また、どのようなシステムの構築が得意なのかを、依頼前に実績や導入事例を照会すると良いでしょう。
自社のニーズや業界の特性への理解があるか
自社のニーズや業界の特性をしっかりと把握した上で、最適なロボットや関連装置、周辺設備の選定ができるロボットSIerでなければ、そもそも依頼するメリットがありません。
生産工場の現場は多種多様で、柔軟な機種選定が求められます。ロボットSIerがどのようなロボットを取り扱っているかだけでなく、これまでにロボット導入をサポートしてきた業界や企業についても前もってチェックしておきましょう。
既存環境や現場の機器とのマッチングが可能か
ロボット導入にあたって、現在の自社の作業環境や設備機器、従業員の配置といった条件をまとめておくことは欠かせません。
もし既存の機器や設備と、新しく導入するロボットとの相性が悪かったり、互換性に問題があったりすれば、導入コストが無駄になったり、さらに別の機器や装置を追加で導入しなければならなくなったりといった問題が生じます。
そのため、ロボットSIerへロボットの導入を相談する場合には、必ず担当者へ自社の環境や状況を正しく理解してもらえるように努めることが重要になります。
従業員の使いやすさや技術習得の必要性
ロボットを導入しても、その使い方を正しく理解して運用しなければ本来の導入効果は得られません。
基本的に、ロボットの操作が複雑であったり、一部の従業員しか扱えなかったりすれば、工程の効率化や人員配置の適正化、属人化の解消といった目的は果たせません。
省人化のためにロボットを導入したところ、ロボットの専任担当者を新たに採用しなければならなくなることは本末転倒といえます。
現在の業務フローや従業員の技術レベル、作業の効率化に求められる機器の性能といった諸条件をロボットSIerへ多方面から検証してもらい、できる限り無駄のないロボット導入をサポートしてもらうことが重要です。
将来的な改善案も提案してもらうこと
現時点で導入するロボットシステムだけでなく、将来的にどのような変化(さらなる自動化、完全無人化など)を提案できるのかの余力についてもロボットSIerに確認しておくことが必要です。
今後どのようなメリットが生まれるのか、ラインニングコストがどの程度かかるのかについても、できるだけ詳細に確認し、年単位のスケジュール案を作成してもらうと、より自社のロボットシステムの将来像が明確になることでしょう。
ロボットシステムの導入は、ロボットSIer「アルフィス」にご相談ください
ALFIS〈アルフィス〉では、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
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