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ロボットシステム導入におけるバリデーションとは?

ロボットシステム導入におけるバリデーションとは?

医薬品の製造工程では生産設備の導入時にバリデーションを行うことが必要で、ロボットを使った自動化装置を導入する場合にも、同じようにバリデーションを実施しなければなりません。
今回はロボットシステムに対して行うバリデーションについて、弊社で行った実際の事例を例に挙げて説明します。

アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすくて導入しやすいロボットシステムをご提供しています。
ロボット導入時の事前検証でお困りでしたら、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。
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ロボットシステムの導入でバリデーションが必要となるのはどういう時か?

医薬品の製造工場でバリデーションを行わなければならないことは、改正GMP省令第13条に記載されています。

第十三条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。
 一 次に掲げる場合においてバリデーションを行うこと。
  イ 当該製造所において新たに医薬品の製造を開始する場合
  ロ 製造手順等について製品品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合
  ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合
 二 バリデーションの計画及び結果を、品質保証に係る業務を担当する組織に対して
   文書により報告すること。
2 製造業者等は、前項第一号のバリデーションの結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合においては、所要の措置をとるとともに、当該措置の記録を作成し、これを保管しなければならない。
引用元:令三厚労令九〇・一部改正

製造工程での原料の搬送や、検査後の良否判定といった工程にロボットが使われる場合、上記の「ロ 製造手順等について製品品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合」に該当することとなります。

ロボットシステムはその自由度の高さから、当初は人手で行われていた工程に導入されることがあり、例えばロボットパレタイズシステムは、梱包された製品の出荷前の積み付け工程に導入されるロボットです。
こういった、製造や検査といった医薬品の品質に直接かかわらない設備としてロボットが導入される場合も、「ハ その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合」としてバリデーションの実施が求められます。

ロボットシステム導入時のバリデーション実例

JRC【ALFIS】では、医薬品工場にロボットシステムを導入した実績がございます。実例とともに、ロボットシステムの導入時に行ったIQ(据付時適格性確認)とOQ(稼動性能適格性確認)の内容をご紹介します。

導入時にバリデーションを行ったロボットシステムを紹介

① 医薬品個装箱へのラベル貼り半自動化ロボット

医薬品のPTPシートが入った箱に印字されたラベルを張り付ける作業を行うロボットです。
作業者が箱を供給し、ロボットがラベルを貼り付け、完了した箱は自動で排出されます。
重要な管理情報が印字されたラベルを扱う作業であるため、設置と同時にバリデーションを行いました。

② 医薬品の段ボールパレタイズ

医薬品の段ボールパレタイズ|ロボットシステム導入におけるバリデーションとは?
瓶入りの医薬品を梱包した段ボールを、パレットに積み付けるロボットです。
生産ライン2ライン分の積み付けを1台で行うロボットで、2本のコンベヤから別々の製品が流れてくるのを、それぞれ対応するパレットに積み付けます。

段ボールパレタイズ(医薬品)
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段ボールパレタイズ(医薬品)

②のパレタイズ事例のバリデーション内容を次で説明します。

実施したバリデーションの概要

医薬品の段ボールパレタイズ事例では、IQ・OQで以下のような点の確認を行いました。

■ IQ(据付時適格性確認)

設置されるロボットシステムが設計時の図面通りのものか、ロボットシステムに供給される電気やエアー、設置される場所が計画通りかどうかといった項目を確認しました。

確認項目数 約20項目
確認項目例 供給エア圧確認
ロボットシステムのエア供給ユニットのエアーレギュレータを全開にした状態で工場からエアを供給。レギュレータの圧力表示値が0.5MPa以上であることを目視確認し表示値を記録する。
※エアーレギュレータ…エアーの圧力を減圧させる機器。

■ OQ(稼動性能適格性確認)

動作内容がプログラム通りか、動作の誤差は許容範囲内か、エラー発生時メッセージ表示やブザー発出が行われるか、といった項目を1つ1つ細かくチェックし、設置されたロボットシステムが正常に動作しているかを確認しました。

確認項目数 約50項目
確認項目例① ソフトウェア警報回路の確認:1号ライン良品信号OFF
【エラー内容】1号ラインの上流機器からの良品信号(良否判定OKの段ボールなので積み付けて良いという信号)がOFFの状態でワークが侵入したため、自動運転を中断。
【実施手順】自動運転中に1号ライン上流機器を使用せずにワークを投入し、エラーが発出されることを確認する。
確認項目例② ソフトウェア警報回路の確認:2号ライン良品信号OFF
【エラー内容】1号ラインと同様。
【実施手順】1号ラインと同様。
1号ラインと同じエラー発出を、2号ラインでも確認する。
本装置ではライン2本分の作業をロボット1台で行う都合上、同じ内容のエラーは1号ライン・2号ラインの両方で発生の可能性があるため、エラーの確認は1号ラインと2号ラインのそれぞれで行う。

バリデーションの実施理由

このロボットシステムは製品の製造や検査に直接影響しないパレタイズ工程の自動化を行うものですが、GMP省令に定められているという理由だけでバリデーションを行ったわけではありません。今回バリデーションを行った主な目的は以下の2点です。

① 製品管理のため
医薬品工場では、出荷される製品すべてに対しロット番号で品質の管理を行っています。どのパレットにどのロットの製品を積みつけてどこに出荷したかという情報をコントロールするために、パレタイズ工程でもバリデーションを行います。

② 混入防止のため
1台のロボットで同時に2種類の医薬品の積み付けを並行して行う装置であるため、万が一にも1号ラインの製品を2号ライン用のパレットに積みつけてしまい、別の製品を混ぜて出荷するのを防ぐことが必要でした。

③ プロセスコントロールのため
本来バリデーションは、各生産工程におけるプロセスコントロールをするために必要な要素の確からしさを確かめることを目的として行うもので、今回も当てはまります。

AIを使った画像処理とバリデーション

AIを使った画像処理とバリデーション|ロボットシステム導入におけるバリデーションとは?
ロボットを使った自動化装置には、AIが搭載されているものが次々と開発されています。例えば、カメラセンサで認識しAIで処理した情報に基づいてピッキングや良否判定を実施したり、ロボットアームの移動経路をAIが算出することで最も効率の良い経路を通る制御プログラムを作成したりするロボットシステムがあります。
このようなAIを用いたロボットシステムを医薬品製造現場へ導入検討する場合、懸念すべき課題にはどういうことがあるでしょうか。

AIを使った装置にバリデーションが実施できるのか

医薬品製造におけるバリデーションは、装置が常にプログラム想定通りの動きをするということを確認することで、装置を使って製造された製品に品質を担保するために行われます。しかしながらAIはその都度計算し最適な結果を算出するため、「常に想定通りである」という保証できない可能性があることから、バリデーション対象の工程に組み込むことは現状では難しいと思われます。
良否判定にAIを使う場合、認識の閾値の数値を設定することはできますが、「なぜそう判定したのか」という根拠のデータ化が困難です。AIが算出した動作プログラムに沿ってロボットが動くと、想定外の動作を行う可能性があります。

ロボットで扱いたい製品品種が多岐にわたる場合、1つ1つプログラムを作るには膨大な時間がかかってしまうため、AIにロボットの動きを考えさせることはメリットになります。しかし、「プログラム通りであること」が求められる医薬品製造においては自分で考えて動きを変えることはデメリットとなってしまうのです。

AIによる良否判定の補助

AIの判断のみで装置を動かすことは困難ですが、医薬品の製造工場でAIが全く使えないということではありません。
医療現場で医師の診断を補助するAIが開発されていますが、医薬品製造においても人の目で検査を行うバリデーション対象外の工程で、補助的にAIを用いることは可能です。

AIで、がんを探す内視鏡検査。
医師が診断時に見るモニターに映し出される内視鏡映像に、「がんの疑いがある部分を表示」することで医師の診断を支えます。
引用元:FUJIFILM 内視鏡AI

製品の目視検査においてAIが補助を行う場合は、不良の可能性のある個所をAIが抽出し、検査担当者が目視でピックアップされた箇所を検査するという方法を取ります。
全体をくまなく注視する方法では検査担当者の作業負担が大きいため、見るべき場所をAIが代わりに探すことで負担が軽減され見落としの防止にもつながります。

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医薬品製造工程でのロボット導入は、ロボットSIer JRC【ALFIS】にご相談ください

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