マシンビジョンにおける画像処理は、製造工程の自動化において欠かせない技術の一つです。中でも映像を取り込むイメージセンサーはカメラ中核ともいえる装置です。
今回はそのイメージセンサーの種類についてご紹介いたします。
イメージセンサーとは
イメージセンサーとは、光の強弱を電気信号に変換するセンサーで、人間でいうところの「目」にあたります。
「画素数」や「ピクセル」と表記されることが多く、その数値が大きければ大きいほど取り込む画像は綺麗になりますが、その分コストは高くなってしまいます。そのため現場に合わせて必要なスペックのものを選ぶことが大切です。
またセンサーも大きく分けて「CMOSセンサー」と「CCDセンサー」の2種類があります。
CMOSセンサーとは?
CMOSは、「Complementary Metal Oxide Semiconductor」の略で、日本語では「相補型金属酸化膜半導体」と呼ばれます。
動作原理としては、フォトダイオードで光を受光し、電荷に変換して蓄積。その蓄積した電荷を各素子に備えられた増幅器によりその場で電圧に変換します。
一言で表すとスイッチのON・OFFで任意の画素のみデータを読み出すことが出来ます。
また近年はイメージセンサーの中でシェアの大半を占めるものになっています。
CMOSセンサーのメリット
CMOSセンサーは、前述のように電気信号の増幅器が各画素についているので、適した場所で使用すれば信号読み出しの電気ノイズが軽減できるというメリットがあります。
一つの半導体の中にイメージセンサーに関する仕組みを作りこめるため、安い価格で購入することが可能となります。
また素子が小さいため消費電力が少ないというメリットもあります。
CMOSセンサーのデメリット
CMOSセンサーのデメリットとしては、暗い場所での使用する際にノイズなどトラブルが発生しやすくなることが挙げられます。原因としては画素ごとに存在する増幅器の特性が若干異なることと言われています。
またCMOSセンサーの特性上、上から下の順番に信号を取り出していくものなので、早く動くものを撮影した際に被写体が歪んでしまう「ローリングシャッター現象」が起きてしまいます。
CCDセンサーとは?
CCDは、「Charge-Coupled Device」の略で、日本語では「電荷結合素子」と呼ばれます。
動作原理としては、フォトダイオードで光を受光し、電荷に変換して蓄積します。その電荷をそのまま伝送路に流し込み、バケツリレーのように増幅器まで流して電圧に変換し、一枚の画像を生成することができます。
1969年に発明され、半世紀以上使われ続ける歴史のあるセンサーです。
1970年にBoyleとSmith(当時Bell研究所)がCCD(Charge-Coupled Device、電荷結合素子)を発表した1。構造が単純であり、イメージセンサーのような大規模なアレイ構造を製造するのに適していること、矢継ぎ早にCCDに改善が加えられたことから、イメージセンサー開発の中心はCCDになった。1970年後半からは開発の中心は日本に移った。1978年、山田哲生(当時 東芝)は、強い光が入射したときに縦線の偽信号を発生させるブルーミングを抑制する縦型オーバーフロードレイン構造を発明した2。1979年には寺西信一(当時 NEC)が、白傷や暗電流を大幅に低減し、残像や転送ノイズを解消する埋込フォトダイオード(Pinned Photodiode)を発明した3。これらの結果、CCDはまずムービーを、引き続きコンパクトデジタルスチルカメラを主な市場として量産されていった。
引用元:公益社団法人発明協会 戦後日本のイノベーション100選事務局
https://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation_detail.php?eid=00059&age=stable-growth
CCDセンサーのメリット
CCDセンサー最大のメリットは非常に高画質な状態で画像を生成できることです。
またほぼ同時にイメージセンサー全体の信号を読み取れるため高速で動く被写体を撮影してもCMOSセンサーで発生していた「ローリングシャッター現象」が起きることはありません。
CCDセンサーのデメリット
デメリットとしては、CMOSに比べてコストの高さや消費電力の大きさが挙げられます。
また強い光を受けると部分的に白飛びしてしまう「スミア」や「ブルーミング」などのノイズが現れることがあります。
そのため現在では高品質な読み取りが求められる医療現場のカメラや高速度カメラなどハイエンドカメラに使用されることが多くなっています。
CMOSセンサー・CCDセンサーの違いについて
2種類のイメージセンサーの違いをまとめると下記のとおりです。
CMOSセンサー | CCDセンサー | |
消費電力 | とても小さい | 大きい |
処理速度 | 速い | 遅い |
画質 | 普通 | 良い |
機能 | 優れている | やや劣る |
価格 | 安価 | 高価 |
イメージセンサーのまとめ
基本的にはCMOSセンサーが使用され、高品質な画像処理が求められる現場などではCCDセンサーが導入される傾向にありますが、最近ではBSI-CMOS(裏面照射型CMOSセンサー)と呼ばれるCMOSセンサーのメリットに加えて、約2倍の感度を実現したセンサーも開発されています。
イメージセンサー以外にもマシンビジョンのスペックについて解説したコラムもございます。もしよければ一度ご確認ください。
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