製造工程の自動化において、産業用カメラの導入が必要不可欠となっています。
産業用カメラを使った画像認識は製造工程の自動化においてとても重要な役割を果たしています。
今回の記事では、この画像認識が製品工程において用いられている作業や上手く活用するための注意点などをご紹介していきます。
産業用カメラを使った画像認識とは
画像認識とは、カメラなどの媒体で撮影した画像から「何がどのように映っているか」をコンピュータが認識する技術です。
撮影したものの形や色の特徴から、それが何であるか判断する「パターン認識」という手法によって、画像を判別します。
パターン認識とは、画像や音声など膨大なデータから一定の特徴や規則性のパターンを識別して取り出す処理のこと。人間が行っている知的行動をコンピュータに実現させるための自然情報処理のひとつである。パターン認識の中で使われる頻度が高いものが「顔認識」「音声認識」「文字認識」である。話題になったプロ棋士と将棋AIの対戦も勝つための機械学習とパターン認識の応用といえる。パターン認識における学習は、「教師あり学習」によって行うのが一般的で、「学習」して「認識」するという流れでデータを蓄積していく。
パターン認識は製造現場以外にも、私たちの日常においてスマートフォンの顔認証機能などで活用されている技術です。
工場での画像認識例① 産業カメラでの外観検査
製造現場における画像認識の活用されている工程に外観検査があります。
外観検査とは、製品や部品などにある外部の傷や欠陥、不良部分の有無を確認する工程です。
製造現場における品質管理の一環として実施され、製品の品質や安全性を確保するために欠かせない検査となっております。
産業用カメラを活用しない場合は、検査員が製品や部品の規格に従って、表面の傷や変形、塗装のムラなどを目視でチェックされています。
ここでは産業カメラにて外観検査を行うメリットなどを紹介していきます。
産業用カメラでの外観検査のメリット① 検査の効率と生産性の向上
産業用カメラを用いた外観検査は、目視での検査に比べ効率的に実施することが出来ます。
目視の検査の場合、人間の肉眼で確認するため、小さな傷や汚れを見つけることは困難です。精度向上のために顕微鏡などで細かいチェックを行うと検査効率が悪くなってしまいます。
一方、高画質な産業用カメラを使えば、小さな傷や汚れも瞬時に発見できるため検査効率を落とさず、高精度の外観検査が可能となります。
また目視より少ない人員で外観検査ができるため、これまでの担当者を別の生産工程に回すことができ、生産性の向上にも繋がります。
産業用カメラでの外観検査のメリット② ヒューマンエラーの防止
人間の目での検査の場合、検査員の目の疲れや注意力の欠如、検査環境の影響などが要因となり、見落としなどのヒューマンエラーが発生することがあります。見落としは不良品の混入や、製品の品質低下に繋がります。
また検査員の経験や技術によって検査の精度も異なってしまう問題もあります。
検査員の訓練や指導が不十分な場合、正確な判断ができず、不良品を見逃してしまう事態も発生してしまいます。
産業用カメラであれば、検査数量が多い場合でも見逃しの心配がありません。また同じ性能のカメラと同じ環境を用意すれば、同じ精度で検査を実行する事が可能です。
さらに撮像した画像データを保存できるので、検査の裏付けになるメリットもあります。
工場での画像認識例② 産業用カメラでの位置決め
製造ラインの位置決めにおいても産業用カメラの画像認識技術は大いに活用されます。
位置決めは生産ラインにおいて部品や工作機器の正確な位置関係を維持する技術のことです。コンベヤやロボットなどの自動化装置が多く導入された製造ラインでは、正確な位置決めを行う事が必要不可欠となります。正しい位置決めが出来ていれば、生産性を向上させ、不良品の発生を減らすことが出来ますが、位置決めの精度が低い場合はトラブルの原因となってしまいます。
画像認識を使わない位置決め方法
位置決めにおいて産業用カメラを使用しない場合は、目視や測定器などを用いて行われます。
目視の場合は、製品や部品の形状や寸法を確認しながら、目分量で位置を決めます。
測定器を用いた場合は、ノギスやマイクロメーターを使い、製品や部品の形状や寸法を正確に測定し、そのデータを基に位置を決めます。
どちらの方法においても専門の人員が必要になっており、また物量が多い時や人員の疲労が溜まっている場合にはヒューマンエラーが発生する可能性が高くなっています。
高精度の位置決めを可能にする「パターンサーチ」
産業用カメラでの位置決めの精度を高めるために「パターンサーチ」という方法が使われます。
パターンサーチとは、画像認識にて製品表面のパターンを認識し、位置や色・形状・テクスチャなど、さまざまな特徴からパターンを見つけます。それらの情報をもとに、製品の位置決めを行う方法です。
この方法であれば、高精度な位置決めを高速で実施できるため、手動の位置決めに比べて生産性の向上に繋がります。
ただ画像が遮られたり、変形すると正確な位置決めが出来ないという課題もあります。このような状況を防ぐためにもカメラの環境には注意を払う必要があります。
画像認識を上手く運用するための注意点
製造ラインの自動化には欠かせない産業カメラでの画像認識ですが、導入においての注意点はございます。
注意点① カメラや照明など機材の選定が困難
産業用カメラは非常に種類が多く、細かいスペックの違いで性能も変わってくるため、選定するものを誤ってしまうだけでうまく画像認識出来なくなってしまいます。
また画像認識にはカメラだけでなく、照明も大きな役割を担うためこちらの選定も重要になってきます。照明には大きく分けて、「リング照明」「ドーム照明」「ローアングル照明」「同軸照明」などの種類があり、それぞれに長所と短所があるため用途に合わせて使い分ける必要があります。
もし誤った照明を導入してしまうとカメラの性能を活かすことが出来なくなってしまいます。
注意点② 環境づくりや設定を適切に行う必要がある
画像認識をはじめとしたカメラの機能は、周囲の環境によって性能が左右されます。
照明の明るさやカメラと対象物との距離や角度に問題があると認識精度が低下してしまいます。
また撮影条件によって撮影結果が変わるので、対象物や運用方法に合わせた設定もとても重要です。シャッタースピードやISO感度、絞り値などを現場にあわせて適切に設定する必要があります。
画像認識の精度を高めるためには、導入時のセッティングがとても重要となってきます。
産業用カメラ導入を含めたロボット導入の際はロボットSler「アルフィス」にご相談ください
以上が画像認識に関する紹介でした。
上手く活用すれば作業効率を上げ、生産性を向上させてくれますが、導入には産業用カメラに対しての知識が必要不可欠となっております。
画像認識を最大限活用するためにも産業用カメラ導入の際にはロボットSlerにご相談ください。
アルフィスでは、工場の人手不足・生産性の課題を解決するロボットSIerとして、使いやすく・導入しやすい、高品質なロボットシステムをご提供しています。
産業用カメラの導入を含めた自動化をご検討の際は、ぜひ一度、アルフィスまでお問い合わせください。